夜に綴る物語

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真撰組屯所の門の前で名前が深呼吸をする。追い返される可能性の方が高いが、そこは当たって砕けろの精神でカバーだ。
ペチンと両の頬を叩き、名前は気合いを入れ直した。

「よし!行きま――」

「おい、そこで何してるんだ?」

拳を握る名前の背後から、男の声がした。
振り向くと、パトカーの運転席から顔を覗かせて煙草をくわえている男の姿が。その隣には、亜麻色の髪をした甘いマスクの少年。

「「あ」」

名前を見るなり、二人は揃って声をあげた。

「おおおおおお前!きっ、昨日の!」

「土方さん、動揺しすぎでさァ」

車を降りた土方を、沖田の声が追い掛けた。
名前の方ははっきりと覚えていないようで、首をかしげている。

「お前昨日の女だろ!」

「……あ、あの時の方ですか」

「あ、じゃねぇよ!お前、ここで何してやがる!?」

「就活です」

「はァ!?」

予想もしていなかった答えに、土方が唖然とする。
一方、沖田は楽しそうな笑みを浮かべ、名前と土方の間に割って入った。

「あんた、真撰組に入りたいんですかィ?」

「はい!」

「へえ……んじゃ、着いて来なせェ。土方さん、近藤さんとこ行ってきまさァ」

固まっている土方に一言告げ、沖田は名前の前に立ち門をくぐった。
はっと我に返った土方が二人の背後で沖田に向かって罵声を吐いているが、完全に無視して沖田は屯所内に名前に入った。


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