夜に綴る物語

□浮気じゃないです、忙しいんです
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久々に作る味噌汁をかき混ぜながら、私は一人悩んでいた。
そろそろ、というより流石に一度地球に帰るべきではないだろうか。仕事のこともあるし、いつまでもここでダラダラしているのは良くないだろう。
状況も一段落したところだし、この先どうするかも一度話し合った方がいい。

しかし、本当にこの先どうすればいいのだろう。
真撰組の一員として、やはり鬼兵隊と関係を持ってしまったことは後ろめたい気もする。
でもまだ辞めたくないし、攘夷浪士を捕まえたいという想いもある。

「はぁ……」

「どうしたの?」

「……ッ!?」

突如背後から声がして、驚きのあまり玉じゃくしが手から離れて鍋に当たった。

「なんだ、神威か」

ニコニコしながら料理を眺める神威。

「仕事は?」

「終わったヨ。こんなに頑張ったの初めて」

「やればできるんじゃない」

嬉しそうにアンテナを揺らす神威を撫でる。しかし、その目は私の後ろに釘付けだ。
物欲しそうな瞳をしている神威は、本当に兎のようでかわいい。

「ご飯も炊けたし、持って行くから座って待ってて」

「了解!」

神威を見送ってから、火を消して棚から大皿を数枚と飯櫃を取り出し、大鍋の蓋を開けた。







「神威」

「んー?」

すさまじいスピードでご飯を書き込む神威の向かい側に座り、飯櫃で隠れている神威の顔を体を傾けて覗きこむ。

「おいしいよ?」

「あ、どうも。……じゃなくて」

一瞬迷ったが、膝の上で手を握り締め、はっきりと自分の気持ちを伝えることにした。

「私……そろそろ地球に帰ろうと思うの」

「へー……。……えッ!?」

ぴたりと箸が止まり、神威が飯櫃を置いた。
ごくりと口に残っていた物を呑み込み、頬にご飯粒をつけたまま神威が停止した。

「付いてるよ、ご飯粒」

腰を浮かしてご飯粒を取ると、引っ込めかけていた手を掴まれた。

「帰るの……?」

「取り敢えず、ね」

力が緩むのを見計らって、椅子に座り直す。

「暫くは神威も忙しいと思うし、いい機会だから一度帰ろうかと」

「……」

「別に、もう一生会えないとかじゃないから。それに……」

いつまでもこのままじゃ居られないしと付け足すと、神威は何か言いたげに口を開いたが、少し躊躇ってから閉じた。
そして、いきなり立ち上がった。

「来て」

「え……」

腕を引かれて、半ば引かれるように私も立ち上がった。


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