夜に綴る物語

□好きは現在進行形です
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今日は着物でいいと言われて、久しぶりに着慣れた着物に腕を通した。チャイナ服ばかり着ていたせいか、少し重く感じる。

「準備できた?」

「うん」

最後に刀の提がったベルトを腰に巻き、ブーツに足を入れた。
それと同時に、部屋の扉が開いた。阿伏兎がだるそうに入ってくる。

「客の御到着だ」

「分かった。名前、行くヨ」

「はーい」

返事をして、神威に続いて部屋を出る。
誰が来るのだろうと考えながらついていくと、いきなり神威が立ち止まった。急に止まることはできず、神威の背中に額が当たった。

「ここだよ」

着いたのは、いつも使っている会議室だった。
開閉ボタンを押し、神威が私の後ろに下がった。

「え、なに?」

前に出された理由が分からずにいると、トンッと背中を押された。
足を踏み入れた先から香った紫煙の匂いに体が固まる。

「よお名前」

「……高杉……」

並んだ椅子の一つに座っている高杉を睨み、理由を聞こうと振り返ろうとした。

が――



「んっ!?」



背後から布で口を塞がれ、甘ったるい匂いが鼻を突いた。
以前にも嗅いだことのあるそれに、頭の中で警報が鳴り響く。しかし、気づくには一歩遅かった。
体から力が抜け、意識がだんだんと遠退いていく。

――なん……で……




「ごめんネ……」




視界が黒く染まる直前に、神威の声が聞こえた。



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