夜に綴る物語

□女はミステリアスなもの
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‐宇宙海賊春雨本艦‐


「うわ、デカ!?」

想像以上に春雨の本艦はデカかった。

「そりゃあ、母船だから十二師団全部の船が入るようになってるしネ。他にもいろいろとあるし」

「へえ」

にしてもデカすぎだろ。

「俺は提督のとこ行ってくるから、名前は自由に見て回ってていいヨ」

「え、部外者がそんなに気軽に居ていいの?」

「いいのいいの。なんか言われたら、第七師団長の妻ですって言えばいいから。終わったら電話するよ」

「テキトーだなあ、オイ」

大丈夫だって、と神威が笑った。

「じゃ、行ってくるネー」

「行ってらー」

さてさて、どうしたものか。
一応番傘は持ってるしチャイナドレス着てるし、第七師団ってことは分かってもらえるだろう。ケータイあるから連絡はとれるし。

ま、大丈夫か。

では、早速見学に行きますか!

沢山の船が停まっているシェルターを横目に見ながら、艦内を移動した。







広すぎて、もう自分がどこにいるのか分からない。どっちを向いて歩いているのかも分からないし、もう疲れた。
すると、前方に阿伏兎の姿が見えた。

なんていいタイミング。

「阿伏兎ー!」

阿伏兎は私に気付いて、よお、と言った。

「お前さん何やってんだ?」

「見学してた」

「見学っつったって、そんなにおもしろいもん無ェだろ」

「ひたすら廊下歩いてたの」

「そりゃあ、つまらんだろうな。団長でも迎えに行くか?」

「うん」

阿伏兎について歩き出そうとしたとき、背後から別の声がした。

「阿伏兎じゃねえか」

振り向くと、神威も着ていた幹部の紅いコートを羽織っている、犬みたいな狼みたいな天人がいた。左手がフックになっていて、左目には眼帯をしている。

「よお、勾狼団長」

「久しぶりだな。あ?新入りか?」

視線が私に向けられる。

「ああ、この嬢ちゃんは団長の女だ」

女ってなんだよ、女って。

「ああ……あんたが例の……鬼兵隊の修羅姫か」

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