夜に綴る物語
□女はミステリアスなもの
2ページ/8ページ
‐宇宙海賊春雨本艦‐
「うわ、デカ!?」
想像以上に春雨の本艦はデカかった。
「そりゃあ、母船だから十二師団全部の船が入るようになってるしネ。他にもいろいろとあるし」
「へえ」
にしてもデカすぎだろ。
「俺は提督のとこ行ってくるから、名前は自由に見て回ってていいヨ」
「え、部外者がそんなに気軽に居ていいの?」
「いいのいいの。なんか言われたら、第七師団長の妻ですって言えばいいから。終わったら電話するよ」
「テキトーだなあ、オイ」
大丈夫だって、と神威が笑った。
「じゃ、行ってくるネー」
「行ってらー」
さてさて、どうしたものか。
一応番傘は持ってるしチャイナドレス着てるし、第七師団ってことは分かってもらえるだろう。ケータイあるから連絡はとれるし。
ま、大丈夫か。
では、早速見学に行きますか!
沢山の船が停まっているシェルターを横目に見ながら、艦内を移動した。
☆
広すぎて、もう自分がどこにいるのか分からない。どっちを向いて歩いているのかも分からないし、もう疲れた。
すると、前方に阿伏兎の姿が見えた。
なんていいタイミング。
「阿伏兎ー!」
阿伏兎は私に気付いて、よお、と言った。
「お前さん何やってんだ?」
「見学してた」
「見学っつったって、そんなにおもしろいもん無ェだろ」
「ひたすら廊下歩いてたの」
「そりゃあ、つまらんだろうな。団長でも迎えに行くか?」
「うん」
阿伏兎について歩き出そうとしたとき、背後から別の声がした。
「阿伏兎じゃねえか」
振り向くと、神威も着ていた幹部の紅いコートを羽織っている、犬みたいな狼みたいな天人がいた。左手がフックになっていて、左目には眼帯をしている。
「よお、勾狼団長」
「久しぶりだな。あ?新入りか?」
視線が私に向けられる。
「ああ、この嬢ちゃんは団長の女だ」
女ってなんだよ、女って。
「ああ……あんたが例の……鬼兵隊の修羅姫か」
,