夜に綴る物語

□宇宙って実はゴミだらけ
2ページ/5ページ



バクバクと暴れだす心臓。

「あ……」

「あり?固まっちゃった」

あり?じゃないから。
表面上固まってるけど、脳内では転げ回ってるからね?
私は少女漫画とか読んだことないんだよ?愛読書はジャンプですよ?
こういうときの反応が分かりません。

かわいく照れればいいの?それともツンデレ風に、『べ、別にアンタにキスなんてされても、う、嬉しくなんてないんだからね!』とか言ってみたり?

駄目だ……自己嫌悪に陥りそう……。

「今のは何ですか……?」

ようやく言えたのはコレ。
色気の無さにびっくりだ。
神威はそんなこと気にもしないで、笑顔で答えた。

「おはようのチュー」

かわいいなコイツ!
その顔でこの言葉は反則だ!

「ってか、いきなりチューですか!?」

「俺のこと好きでしょ?ならいいんじゃないの?」

「……はい?」

オイ、ちょっと待てよアンテナ。

「私がいつそんなこと言ったのよ?」

「言ってはない」

「じゃあなんで分かったのよ?」

「分かった?ってことは事実なんだネ」

うわ、地雷踏んだよ!
自ら踏んじゃったよ!

「いや、その、それは……」

カーッと顔が熱くなってくる。
困惑していると、神威はクスリと笑った。

「ごめんごめん。本当はネ、名前寝てるときに何度も俺の名前呼んでたんだヨ」

「え!?」

「あとは、俺の服握りしめて放さなかったり」

「マジですか……」

青いネコ型ロボットがいたなら、今すぐ過去に戻って自分を叩き起こしたい。
名前呼んで服放さないって、ほぼ告白じゃないか。

「取り敢えず、すみませんでした。もうしませんので許してください」

「なんで謝るの?」

私が謝ると、神威はキョトンとした。

「だって鬱陶しかったでしょ?」

「全然。寧ろ嬉しかったヨ」

神威の言葉にドキリとする。

「俺もさ、名前が好きみたいなんだよネ、出会ったときから。一目惚れってやつ?それに、身請けした時から名前は俺のものなんだよ」

あ、私頭から湯気出てるな、確実に。
駄目だ、顔がまともに見れない。告白されたよ私。
更に脈が速くなった。
よし、腹をくくろう、武士として。
関係無いけど。
真っ赤になっているであろう顔を隠す為、私は神威の胸に額を押し付けた。

「私も……神威が好き、です……」

「……うん」

力強く抱き締められて、私も神威の背中に腕を回した。
恥ずかしさが喜びに変わっていく。

「名前、こっち向いて」

耳元で囁かれて、そっと顔を上げる。
すると、優しいキスが落ちてきた。

宇宙生活一日目。
新しい彼氏ができました。

,
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ