夜に綴る物語
□宇宙って実はゴミだらけ
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バクバクと暴れだす心臓。
「あ……」
「あり?固まっちゃった」
あり?じゃないから。
表面上固まってるけど、脳内では転げ回ってるからね?
私は少女漫画とか読んだことないんだよ?愛読書はジャンプですよ?
こういうときの反応が分かりません。
かわいく照れればいいの?それともツンデレ風に、『べ、別にアンタにキスなんてされても、う、嬉しくなんてないんだからね!』とか言ってみたり?
駄目だ……自己嫌悪に陥りそう……。
「今のは何ですか……?」
ようやく言えたのはコレ。
色気の無さにびっくりだ。
神威はそんなこと気にもしないで、笑顔で答えた。
「おはようのチュー」
かわいいなコイツ!
その顔でこの言葉は反則だ!
「ってか、いきなりチューですか!?」
「俺のこと好きでしょ?ならいいんじゃないの?」
「……はい?」
オイ、ちょっと待てよアンテナ。
「私がいつそんなこと言ったのよ?」
「言ってはない」
「じゃあなんで分かったのよ?」
「分かった?ってことは事実なんだネ」
うわ、地雷踏んだよ!
自ら踏んじゃったよ!
「いや、その、それは……」
カーッと顔が熱くなってくる。
困惑していると、神威はクスリと笑った。
「ごめんごめん。本当はネ、名前寝てるときに何度も俺の名前呼んでたんだヨ」
「え!?」
「あとは、俺の服握りしめて放さなかったり」
「マジですか……」
青いネコ型ロボットがいたなら、今すぐ過去に戻って自分を叩き起こしたい。
名前呼んで服放さないって、ほぼ告白じゃないか。
「取り敢えず、すみませんでした。もうしませんので許してください」
「なんで謝るの?」
私が謝ると、神威はキョトンとした。
「だって鬱陶しかったでしょ?」
「全然。寧ろ嬉しかったヨ」
神威の言葉にドキリとする。
「俺もさ、名前が好きみたいなんだよネ、出会ったときから。一目惚れってやつ?それに、身請けした時から名前は俺のものなんだよ」
あ、私頭から湯気出てるな、確実に。
駄目だ、顔がまともに見れない。告白されたよ私。
更に脈が速くなった。
よし、腹をくくろう、武士として。
関係無いけど。
真っ赤になっているであろう顔を隠す為、私は神威の胸に額を押し付けた。
「私も……神威が好き、です……」
「……うん」
力強く抱き締められて、私も神威の背中に腕を回した。
恥ずかしさが喜びに変わっていく。
「名前、こっち向いて」
耳元で囁かれて、そっと顔を上げる。
すると、優しいキスが落ちてきた。
宇宙生活一日目。
新しい彼氏ができました。
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