青春ドロップ

□何事も微妙なぐらいがちょうどいい
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「せんせー!なんで私がZ組なのですか!」

ショートホームルームをしに来た先生に、すぐに訴えた。
先生は日誌を教卓の上に置き、死んだ魚のような目で私を見てビシッと指をさした。

「そりゃー、お前が『彼女にしたい女子生徒ランキング☆in銀魂高校』で1位だったからだ」

「それはたしかにそうだったけれども!」

「ついでに、『絶対敵に回したくない女子生徒☆in銀魂高校』でも1位だったからだ」

「たしかにそうだったね!彼女にしたいのに敵に回したくないって意味解んないよね!」


我が校の新聞部が昨年行ったアンケートを思い出し、彼等の忌々しい行いに溜息をつく。
しかし、そんなアンケートの結果でZ組に左遷されるわけがないだろう。

「先生、正直にお願いします」

銀八先生がダルそうに頭を掻き、教卓に片手をついた。

「お前、2月に吉原商業の奴等と喧嘩しただろ?アレがまずかったんだろうな」

自分の黒歴史をふり返り、ようやく納得する。

「あー……そんなこともあったなぁ」

あれは2月の雪が降っている日だった。確か、同じ中学だった吉原商業の女子生徒が、私に彼氏をとられたのどうだの言って、手下を連れて喧嘩を売ってきたのだ。因みに、その彼氏さんとは一度ゲーセンで出会って、射撃もので対戦したことがあっただけである。
彼氏さんをとった覚えはないし、喧嘩を売ってきたのも向こうだ。私は悪くするとない。

そう主張すれば、先生はゆっくりと首を横に振った。

「原因なんてどうだっていいんだよ。結果学校内で問題起こしたんだから、Z組に入れられても文句は言えねえだろ。どうしても納得できねぇんなら、校長に直談判してこい」

「校長……」

触角みたいなものが生えている、決して人間とは言えない生物を思い出し、鳥肌がたった。

「いや、もういいです!Z組で頑張ります!」

「うむ、切り替えがはやくてよろしい。んじゃ、ホームルーム始めっぞー」

こうなったら、自分の運命を受け入れるしかない。
Z組だって住めば都かもしれないし、まあなんとかなるだろう。

「名前、今日の下着は何色ですかィ?」

こいつの対処法さえ、覚えれば、ね。


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