青春ドロップ
□先生の方が大変なんだぞコノヤロー!
2ページ/5ページ
今日も今日で疲れた。
ジャンプを読むので忙しいからと急遽自習になった現国の時間。私は昼寝でもしようと思ってたのに、総悟にことごとく邪魔された。そして、それを止めようと入ってきた神楽と総悟の喧嘩を止めることになった。
卒業までずっとこの調子なのかと思うと、頭痛がしてくる。
「はあ・・・・・・」
溜息をつきながらヨロヨロと歩いていると、いきなり肩に何かがぶつかった。
「んぁ?」
顔を上げると、いかにもヤンキーですという感じの短ランを着た男がいた。
坊主にした頭が剃られており、何かの模様を形作っている。
おいおい、EXI○Eかよ。
「おい、どこ見て歩いてんだよ!」
「・・・・・・すいません」
大人しく引き下がる私って成長したなあ、と自分で自分を褒める。
触らぬヤンキーに祟り無し。そそくさと立ち去ろうとしたとき、腕を掴まれた。
EX○LEもどきの取り巻き六人に囲まれる。
「人にぶつかっておいてすいませんで済むと思ってんのか?え?」
折角大人しく立ち去ろうとしたのに、それは叶わないようだ。
プランBに切り替えよう。
「聞いてんのかオイ!」
「黙ってねえでなんとか言えよ!」
まだ考えてる途中なのに、周りのヤンキーが絡んできた。
それに便乗して、E○ILEもどきがニヤリと笑って顔を近付けてきた。
「こいつ綺麗な顔してるじゃねえか。ちょっと遊んでやるか」
ぞわり、と背中に悪寒が走る。
「おら行くぞ」
「ちょ!やだ放してよ!」
直感で、女の子らしい叫び声をあげてみる。
「へえ、威勢がいいじゃねえか」
結論、無駄でした。
ならばしょうがない。
ここは、もしもの時のプランCだ。
晋助ごめん、と心の中で謝り、EX○LEもどきの腕を空いている方の手で捻りあげた。
「あだ!あだだだだだッ!」
あっさりと効いたので力任せに押すと、EXI○Eもどきはゴミステーションのゴミの山につっこんだ。
「なにしやがんだこのアマ!」
次々と飛びかかってくる連中の攻撃をかわし、得意の回し蹴りと急所へのパンチでボコボコにしてやった。
ノリで、地面に伸びているヤンキーの一人の背中を踏んでやった。
「ふぅ」
額の汗を拭い、爽快感に満ち溢れていると、どこからともなく拍手の音が聞こえてきた。
音のした方を振り返る。
そこには、長ランを着てオレンジ色の髪を三編みにしている男がいた。その後ろには、図体のデカい奴が二人いる。
「いやー、凄かったヨ。君、女の子なのにやるねえ」
先頭にいた三編みが、薄い笑みを浮かべてそう言った。
「なんか用?」
「用って言うか、君の下に転がってる奴等、俺の学校の生徒なんだけど」
チラリと倒れている奴等を見て、三編みに視線を戻した。
「何?意趣返し?」
「別に。俺は弱い奴には用はないからネ」
「そう。じゃ、私は失礼します」
三編み一同に背を向け、足早にその場を立ち去った。
勘で分かる。女の勘とかではなく、経験からくる勘だ。
彼等は、さっきの奴等みたいに簡単に片付くような相手じゃない。
大切なことだから二度言います。
触らぬヤンキーに祟り無し!
,