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□アイスクリームとブランデー
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荒い息と、時折聞こえる生唾を飲み込む音。それらが右耳からダイレクトに聞こえてくる。
頭を撫でてやりながら体を離して視線を落とせば、下着しか身につけていない自分の体と、厭らしい手付きで自身を上下に擦る臨也の手が見えた。

「やッ、湖宵ッ!」

少し離れただけなのに、置いてけぼりにされた小さな子供のように、もう片方の手を延ばしてくる臨也。

「はいはい」

そんな姿に北叟笑みながら、再び臨也の方に顎を乗せて抱きついた。
臨也が私の首筋や肩に唇を押し付けるものだから、ブラの肩紐が外れた。

「気持ちいいの?臨也」

「ん……ッ!きもち、いい……ッ!」

気まぐれに頭を起こし、だらしなく開いている薄い唇に自分の唇を重ねる。私から舌を入れれば、私の腕を掴んでいた臨也の手に更に力が入った。

「ねえ、手伝ってあげようか?」

分泌液で濡れている臨也の手を上から包み込む。臨也は小さく頷くと、そっと私の下から手を抜いた。
熱を持つそれを握り締めれば、臨也は今まで以上に大きな声を上げた。手を動かせば、それに連動するように臨也が声を出す。
粘着質な音が響き、手の中で彼の熱が脈打つ。
情報屋として恐れられている彼のこんな姿を見たら、周りの人間はどんな顔をするだろう。私だけが見ることができる臨也の一面に、口角が上がった。

「もうイキそう?」

私から尋ねると、臨也は何度も頷いた。

「臨也、服上げて」

私が指示すると、臨也は従順に薄手の黒いシャツを首元まで上げた。
胸の中心で主張している突起に、舌を這わせる。

「あ……っ!そこっ、無理……っ!」

「好きなくせに」

手の動きを激しくし、胸の突起を甘噛みする。
直後、臨也は絶頂を迎えた。体を仰け反らせ、白濁した遺伝子を自分のお腹の上に飛ばす。
うっとりとした表情で余韻に浸っている臨也を見ながら、手についた液体を舐めてみた。
分かってはいたが、不味い。

「湖宵……」

「ん?」

「すごく、気持ち良かった……」

ソファに体をあずけ、臨也は私の腰を掴んだ。そのまま引き寄せられる。
残っていた片方のブラの肩紐もずらされ、彼の手が背中に回る。ホックを外しながら、臨也は私の鎖骨に唇を寄せた。

「なに?もう一回?」

「次は、一緒がいい」

臨也はいつの間にか復活していた自身を、下着越しに擦りつけてきた。一番敏感な部分を刺激され、膣が収縮した。
臨也は私の下着をずらし、直接触れてきた。

「濡れてる……」

「そりゃあ、臨也のヤラシー格好見ちゃったからね」

臨也の指先が、女の入口をぐるりとなぞる。

「よかった……まだ大丈夫だね……」

臨也は私に語りかけるのではなく、自分に向けてそう言った。
臨也とは何度もこういうことをしてきたが、私はまだ誰とも繋がったことはない。

「湖宵、俺、やっぱり……」

期待に満ちた瞳で、臨也が見つめてくる。

「湖宵と、一つになりたい……」

「……なに言ってんの?」

「好きな人とセックスしたいって思うことはおかしいの?」

おかしくない。
それは人間として、動物として当然のことだ。
私だって、そう思う。好きな人と、身も心も繋がりたい、と。

「だから、私は未だに処女なんじゃない!」

つい声を荒らげると、臨也は小さく謝った。
詫びの代わりに、彼の頬を撫でてキスを落とした。
キスを深くしていきながら、彼の熱に刺激を与える。すると、彼の長い指が中に入り込んできた。
快楽に身を任せる二人分の声が、夕日に照らされた部屋に響く。

首が無ければ名前を呼ぶこともできない。
首が無ければキスもできない。
首が無ければ愛の言葉も囁けない。
首が無ければ見つめ合うことさえできない。
それなのに、彼は、彼女を選んだ。

愛液が溢れ、黒いソファを更に黒く染めていく。
絶頂が近づいてくると、私は目を閉じて臨也の首筋に顔を埋めた。
何度も何度も臨也が私の名前を呼ぶ。
私と臨也は、共に果てた。


私の首が無くなれば、彼は私を抱いてくれるだろうか。








2014.01.10
 

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