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《一之瀬湖宵モデル再開》

《羽島幽平&一之瀬湖宵コラボ写真集発売決定!》

雑誌の表紙に大きく書かれた文字を見て、臨也が珍しく柔らかい笑みを浮かべた。

「ちょっと臨也、ニヤニヤしてないで手伝ってよ」

大皿に乗せた野菜をテーブルに置き、臨也の手から雑誌を奪う。

「まだ中読んでないんだけど」

「後でも読めるでしょ」

雑誌はキッチン前のカウンターに移し、キッチンの中を覗いた。
静雄は肉を切っており、その隣ではドタチンが鍋の出汁を作っている。買い出しに行っている新羅も、そろそろ戻ってくるだろう。

「いいねー、料理してるイケメンは」

「湖宵、発言がおばさん臭い」

隣に立った臨也が、懲りもせず雑誌に手を延ばした。
その前に臨也とは逆の方向に雑誌を引き、丸めて頭を軽く叩いた。

「うるさい。臨也も手伝え」

味見担当だから、と叩いた部分を押さえて、臨也が悪戯っぽく笑った。

「臨也、お前の分野菜だけにすっぞ」

包丁を握ったまま静雄がそう言うと、臨也は静雄を睨んでテーブルに戻っていった。
まるで子供のようだ、と静雄と顔を見合わせて笑う。

「そう言えば……」

鍋をかき混ぜながら、ドタチンが雑誌を視線で示す。

「その写真集、もう狩沢が予約してたぞ」

「え、早いね」

「執事とお嬢様?がコンセプトの写真もあるって言ってたからな」

成程、執事目当てか。

「じゃあ、俺も予約するわ」

「静雄に見られるのは恥ずかしいのですが」

「いいじゃねえか、別に」

「良くないよ」

幽君がやけにノリノリだったせいで、かなり距離が近い写真もあるのだ。社長もそれに便乗して、キスする一歩手前のものまである。
静雄だけでなく、本当は知り合いに見られるのも恥ずかしい。

「へえ、そんなに恥ずかしい写真撮ったんだ?」

「違うって」

頬杖をついてニヤけている臨也に否定の言葉を向け、雑誌を本棚の隅に仕舞った。
その直後、タイミング良くインターホンが鳴る。

「はーい」

『湖宵、両手塞がってるんだ。助けてー』

インターホンの向こうから、疲れきった新羅の声が届く。
両手が塞がるとは、いったいどれほど買って来たのだろう。

「解った。迎えに行くから待ってて」

『はーい』

「というわけで、行ってくる」

みんなに一言告げ、サンダルを履いて外に出た。


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