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順調に中学を卒業して、無事臨也と共に来神高校に入学した時、全ては始まった。
新しくできた友人である静雄は、臨也と出会ったその日に殺し合いの喧嘩をした。その日以降、臨也の生活は静雄を潰す為に費やされることになる。
しかし、私は気づいてしまったのだ。
静雄を見る臨也の瞳の奥に隠されているものに……。
予想は確信となり、不安は現実のものとなった。
「臨也ってさ……静雄のこと……好きなの?」
久しぶりに屋上にて二人で昼食を食べている時に、私は思いきって訊いてみた。
怒られる覚悟はしていた。寧ろ、怒られ、否定されたかった。
馬鹿じゃないの?そんなわけないじゃんって、言ってほしかった。
なのに――
「……いつから……気づいてたの……?」
俯いてしまった臨也から、か弱い声が出る。
「いつから、気づいてた?」
次ははっきりと尋ねられ、悪い予感が的中したことを知る。
焦躁に駆られながらも、私は取り繕うように話した。
「つい最近、かな」
嘘。
本当は、ずっと前から気づいていた。
「よく解ったね……。そんな素振り、見せなかった筈なんだけど」
「……何年、臨也と一緒にいると思ってんの?」
ずっと臨也のことを見ていたから、気づいてしまった。
臨也のことだけを見てきたから……。
「軽蔑、した……?」
食べ終わったパンの袋をグシャリと握り潰し、臨也は苦笑した。
「男を好きになるなんて、俺のこと、軽蔑した……?」
「……するわけないでしょ……」
それでも、私が臨也を好きなことに変わりないのだから。
そっと手を延ばして、柔らかい黒髪に触れる。
「臨也、私、愛に性別は関係無いと思う」
――嘘……
「臨也が静雄を好きなのは、悪いことじゃないよ」
――嘘だ……
「だから、臨也は堂々としてればいいんだよ」
――嘘だ、こんなの……ッ!
初めて、臨也の涙を見た。
プライドの高い臨也が人前で涙を流すこと自体あり得ないので、臨也がどれだけ本気なのかということが、痛いくらいに解った。
「湖宵……ッ!」
嘘で塗り固められた私にすがり付いてきた臨也は幼く感じて、私もその背中に腕を回した。
「湖宵、俺どうすればいい……?嫌われるようなこと、いっぱいしてるのに……」
「大丈夫だよ。ちょっとずつ、素直になっていけばいいから」
「湖宵は……味方でいてくれる……?」
「当たり前でしょ。……親友なんだから……応援するよ」
私は馬鹿だ。
自分で自分を苦しめることにしかならないのに。
「ありがと……湖宵……」
――泣きたいのは、私の方だよ……。
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