short2

□02
1ページ/4ページ



順調に中学を卒業して、無事臨也と共に来神高校に入学した時、全ては始まった。

新しくできた友人である静雄は、臨也と出会ったその日に殺し合いの喧嘩をした。その日以降、臨也の生活は静雄を潰す為に費やされることになる。

しかし、私は気づいてしまったのだ。

静雄を見る臨也の瞳の奥に隠されているものに……。

予想は確信となり、不安は現実のものとなった。















「臨也ってさ……静雄のこと……好きなの?」

久しぶりに屋上にて二人で昼食を食べている時に、私は思いきって訊いてみた。
怒られる覚悟はしていた。寧ろ、怒られ、否定されたかった。
馬鹿じゃないの?そんなわけないじゃんって、言ってほしかった。

なのに――

「……いつから……気づいてたの……?」

俯いてしまった臨也から、か弱い声が出る。

「いつから、気づいてた?」

次ははっきりと尋ねられ、悪い予感が的中したことを知る。
焦躁に駆られながらも、私は取り繕うように話した。

「つい最近、かな」

嘘。
本当は、ずっと前から気づいていた。

「よく解ったね……。そんな素振り、見せなかった筈なんだけど」

「……何年、臨也と一緒にいると思ってんの?」

ずっと臨也のことを見ていたから、気づいてしまった。
臨也のことだけを見てきたから……。

「軽蔑、した……?」

食べ終わったパンの袋をグシャリと握り潰し、臨也は苦笑した。

「男を好きになるなんて、俺のこと、軽蔑した……?」

「……するわけないでしょ……」

それでも、私が臨也を好きなことに変わりないのだから。
そっと手を延ばして、柔らかい黒髪に触れる。

「臨也、私、愛に性別は関係無いと思う」

――嘘……

「臨也が静雄を好きなのは、悪いことじゃないよ」

――嘘だ……

「だから、臨也は堂々としてればいいんだよ」

――嘘だ、こんなの……ッ!

初めて、臨也の涙を見た。
プライドの高い臨也が人前で涙を流すこと自体あり得ないので、臨也がどれだけ本気なのかということが、痛いくらいに解った。

「湖宵……ッ!」

嘘で塗り固められた私にすがり付いてきた臨也は幼く感じて、私もその背中に腕を回した。

「湖宵、俺どうすればいい……?嫌われるようなこと、いっぱいしてるのに……」

「大丈夫だよ。ちょっとずつ、素直になっていけばいいから」

「湖宵は……味方でいてくれる……?」

「当たり前でしょ。……親友なんだから……応援するよ」

私は馬鹿だ。
自分で自分を苦しめることにしかならないのに。

「ありがと……湖宵……」





――泣きたいのは、私の方だよ……。






,
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ