黒き影とともに

□革命錐R争
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錆びた鉄の扉の前で立ち止まる。

「てめえ……なにしに来た?」

奥から、男の声が響いてきた。
正臣は呼吸を整えながら、名前の前に出た。

「は?わけわかんねぇよ。クビだってさっき言ったし、明日以降処刑宣言出すっつったよな。しかも女連れかよ」

「なら……今日はまだ出てないって事だろ?それと、こいつはただの女じゃねえぜ」

正臣は不敵な笑みを浮かべ、落ち着いた口調で続けた。

「あんたの『革命』とやらに納得がいかなくてね、裏切り者として扱われるんなら、せめて昔からの仲間にボコられるかとも思ったけどよ……」

正臣は工場の中を見渡した。

「どういう事よ?俺の知ってる奴が異常に少ないんだけど」

正臣が親しくしていた少年達は、一人もいなかった。正臣の表情が、少しずつ曇っていく。

「お前ら……まさか」

法螺田は正臣を見下すような視線で見て、正臣に声を掛ける。

「まあ、俺がトップになるのに反対しそうな連中は、何故か変な集団に闇討ちにされて、携帯もぶっ壊されて療養中らしいぜ。夕べから今までの短い間にな」

法螺田は下卑た笑い声を上げた。

「おお、おっかねえ。ダラーズの仕業に違いねえや。そうだろお前ら」

笑い声が広がっていく。

「これから……どうする気だよ」

「あぁ?まあ、まずは手前をリンチして……そうだな、手前を餌に、ダラーズのボスの帝人君とやらを呼び出すか」

「手前……」

「はっ!バカだよなぁ!オトモダチの為に来たのかもしれねえが、わざわざ人質になりに来てくれたようなもんだ!いっそ俺も“泉井さんみたいに”あれやってみっかな!手前の後ろにいる彼女の足の骨を折って、『さて問題です』ってよぉ!」

正臣の動きが止まった。

「お前、今……なんつった?」

「ああ?だから手前を使ってダラーズのボスを潰すっつってんだよ!ダラーズのシステムの利点は、ボスの姿をダラーズの連中すらほとんど知らねえことにある!だから、俺らがその情報網だけを乗っ取って――いいように指示を出していきゃあ、ダラーズは知らない内に俺らの手駒ってわけだ!」

「違う、お前……今……泉井って言ったか?」

怒りに拳を震わせる正臣の視界の隅に、名前の姿が映った。

「黙って聞いてりゃギャアギャアギャアギャア……耳障りなんだけど」


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