夜に綴る物語

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「あ、ねえねえ銀さん」

「あぁ?」

寝ぼけ眼で生卵をかき回している銀時が、のろのろと顔を上げる。向かいの席では、妙に機嫌がいい名前が生クリームを泡立てる勢いで箸を回し続けていた。

「仕事のことなんだけどさ」

「あー、うち手伝うんだろー?」

「いや、私真撰組に入るわ」

「し……」

ピタリと手首の動きを止めた銀時が、背筋をただして目を見開いた。

「真撰組だとッ!?」

拳を握りしめたせいで、銀時の箸がくの字に折れた。
名前はそれを気にする様子もなく、モコモコとした生卵を白ご飯にかける。

「うん」

「バッキャロゥッ!お前よく考えてみろよ!一週間前まで真撰組に追われる身だっただろうが!無理に決まってんだろ!」

「私ぶっちゃけ鬼兵隊にいただけで、特に事件起こしてないもん」

「いた時点でアウトなんだよ!」

「行くだけ行ってみるよ」

「俺の話聞いてる!?」

「やらずに後悔するのとやって後悔するのと、どっちがいいと思う?」

「どこの教師だよお前は!いらないからね!そんな偽善!」

「やらずに後悔するのはいけないと思います、先生」

「一人二役だとぅ!?」

「あ、誤解しないでね。私、晋助と本格的な婦警さんプレイや手錠プレイがしたいから入ってみようかなとか思ってるわけじゃ……ない、よ?」

「なんだその思わせ振りな台詞!え!?なに!?それが目的なの!?アイツそういう趣味なの!?あの性格で!?」

「いや、アイツ意外とノーマルですよ?」

「そんな話聞きたくねェよ!複雑すぎるわ!想像しちまったじゃねぇか!」

「やだ、銀さんったら顔赤くして」

「叫んでるからだよ!なんで朝っぱらから大声出さなきゃならねえんだよ!」

ゼーハーゼーハーと息を乱す銀時と、真顔で対応する名前。
銀時は息を整えながら座りなおし、腕を組んだ。

「で?ほんとのところは、どうしたいんだ?」

涼しい顔をしていた名前が俯き、髪に隠れて表情が見えなくなった。

「鬼兵隊を……潰すには、真撰組が一番いいかなって……」

「……そういうことか」

責任感の強い名前は、自分で終わらせたいのだろうと、銀時はそう考えた。

「そういう理由があんなら、俺は何も言わねェ。だが……後悔はするな」

「……はい」

銀時の言葉が、名前の胸に深く突き刺さった。


――もう、後悔はしない……。


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