歪んだ愛に溺れて

□パステルカラーの愛憎劇
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「飽きちゃった」

笑顔でそう言うと、目の前の男は顔を歪ませた。

「なんでだよ……名前……」

泣き出しそうな彼を見ていると、自然と口角が上がる。

「金ならいくらでもやるから!だから別れるなんて言わないでくれよ!」

「私、お金なんて別に欲しくないのよね。ただ飽きちゃっただけなの……貴方に」

安いラブホテルのベッドに座り、呆然と立っている男を見上げる。

――さて、どんな反応するかな……。

「そんなの酷すぎるだろ!こっちは婚約まで破棄したんだぞ!?結婚しようって言ったじゃないか!」

「婚約を破棄して、なんて私がいつ言った?私がいつ結婚に賛成したの?」

「そんな……」

その男は、膝を床について黙り込んでしまった。

「……つまんない……」

バッグを掴んで立ち上がる。

「残念、もうちょっとおもしろい反応を期待してたんだけど……サヨウナラ」

男の横を通り、部屋を出た。



♂♀



つまらない。
普通の男は飽きた。

――やっぱり次は……

「平和島君……かな」

あの力のせいか、平和島君は人に触れることを怯えているようだ。
調べてみたら、過去にある女性を助けようとして、逆に怪我を負わせてしまったらしい。

そんな彼が人を好きになったら、どうなるのか……。

ネオンが照らす道を、緩む頬を気にすることなく歩いた。



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