歪んだ愛に溺れて

□first contact
1ページ/4ページ



保健室のドアを開けると、案の定そこには金髪の男の子がいた。
顔を上げた彼は、私を見て目を見開く。

「お前……」

「初めまして、平和島君」

後ろ手でドアを閉め、平和島君に近付く。カッターシャツは所々破れていて、擦り傷がたくさん出来ていた。

「……お前、臨也の……」

「そ、双子の妹。ごめんね、いつも迷惑かけちゃって」

平和島君の隣に座り、机に置かれていた救急箱を取った。

「お詫びって言うのも変だけど、私がやってあげる」

「あ、いや……」

「いいからいいから」

消毒液をコットンに染み込ませて、戸惑っている平和島君の腕に触れた。
みるみるうちに平和島君の頬が赤くなっていく。

「痛いかもしれないけど、我慢してね」

「ッ……!」

微笑みかけると、平和島君は顔を真っ赤にして目を泳がせた。

「わ、悪ィ……」

「いいって。あ、私名前っていうの。よろしくね」

「ああ」

これで第一印象はばっちりかな。
新羅の時よりも楽しめそうだ。
窓の外でかすかに揺れた黒を横目で見ながら、平和島君の柔らかい金髪を撫でた。

,
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ