歪んだ愛に溺れて
□俺と片割れ
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俺には妹が三人もいる。
双子が二組で四人兄妹。かなり珍しいことだろう。
俺は一番下の二人、九瑠璃と舞流が苦手だ。
この二人は、俺の影響でおかしくなった。
そしてその元凶である俺は、双子の妹である名前の影響でこうなった。
俺だって最初からこんな人間だったわけじゃない。
小さい頃は普通だった。
ただ、名前は生まれつきおかしかったんだと思う。
名前のセンス以外は普通の両親から、とんでもないものが生まれてきたのだ。
ずっと隣にいた俺は、名前の毒にやられた。
名前が普通の女の子だったなら、俺も九瑠璃も舞流も普通の人間に育ったのかもしれない。
名前も俺も人間が好きだ。
俺はどんな人間でも好きだ。
醜く愚かで、だからこそ愛しい。
しかし、名前は少し違った。
名前が好きなのは、苦しんで、絶望している人間。
今まで散々名前がしてきた悪行の数々を見てきた。
でも、名前を嫌いになることなんてなかった。
寧ろ、そんな名前でも好きだった。
いつしか俺は、名前を一人の女として愛するようになった。
どんなに人間を愛していても、名前だけは特別。
だけど、名前は俺とは違う高校に行くことになり家を出た。
名前がいない生活は初めてで、離れていれば離れているほど好きだという気持ちが膨らんでいく。
そんな気持ちを紛らわせるように、俺は毎日のようにシズちゃんをからかっては殺し合いのような喧嘩をしていた。
それが1年続いたある日、それは突然やってきた。
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