黒き影とともに

□革命錐R争
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法螺田が目を細めて、名前を見た。

「ああ?なんだ手前?」

「正臣風に言うと、スーパーミステリアス美少女」

「ケッ、バカか手前!」

笑い出す法螺田に向かって、名前は笑みを浮かべて言った。

「と言うのは冗談で……ダラーズの創始者の一人で、今はリーダー補佐やってる素敵で無敵な情報屋さん」

法螺田の笑いが止まる。隣にいた正臣も、驚いて口を半開きにしていた。

「り、リーダー補佐だと!?手前ダラーズか!」

「さっきからそう言ってるじゃん。今日は帝人の代理で来ました。よろしく、“ブルースクウェアの”法螺田さん」

「なッ……」

正臣が法螺田に視線を戻す。

「お前……いや、お前ら……まさか……」

「やっと気付いたか。ああ、そうさ。ここに居るのは――手前の大嫌いな“ブルースクウェア”のメンバーだよ!残党なんていけすかねえ呼び方すんじゃあねえぞ!今や黄巾賊は俺らが喰っちまったんだからなぁ!」

「……」

「ったく、本当に……青い布を外した途端に、仲間になりたいっつったら簡単に受け入れてくれたぜ、お前らの仲間はよぉ。手前が戻ってきたって聞いた時はちょいとヤバいと思ったが、手前全然気付かねえんだもんなぁ!所詮手前にとって黄巾賊はその程度の奴らだったっつう事だろうよ、ハハッ……ヒャハハハハハッ!」

笑いが再び広がり、正臣と名前を包んだ。
しかし二人は無言のままその光景を眺めていた。

「どうした?いよいよ土下座でもする気になったか!まあ、助けねぇけどな」

「いや……なんかさ、逆にスッキリしたよ」

「あ?なんだぁ?」

「俺は……ダラーズにも登録してるし、黄巾賊の一員でもある」

自虐的な言葉を吐き出しながら、正臣は一歩前に進んだ。

「だが、黄巾賊を首になって、ダラーズも信じられない今の俺は――ただのナンパな高校生だ」

また一歩進む。

入口の扉に、誰かが鍵をかけた。
しかし、正臣は物怖じせず、穏やかに言った。

「だから、ここに来た」

一歩。また一歩、法螺田に近付いていく。

「俺は、ただの紀田正臣だ。だから……俺はここに来た!」

名前は正臣の言葉を聞き、楽しそうに笑った。
それとは逆に、苛ついた法螺田が、横にいた少年からバールを奪い、正臣の顔面へと投げた。
正臣の額から血が流れ出す。
しかし、正臣は落ちていくバールを右手で掴み、更に一歩進んだ。

「俺はな、殺される覚悟だけでここに来たわけじゃない」

正臣は力強く言った。

「俺は――殺す覚悟をしてきたんだよ。まあ、そのなんだ。具体的に言うとアンタをな」

正臣の姿を見て、法螺田に不安と恐怖が広がる。

「何度だって言うぜ。だから俺は、ここに来た。それは、誰にも否定させねぇ!」

少年達が身構える。
刹那、法螺田の叫びが響き渡った。

「手前らなにしてる早くこのバカをブっ潰せぇええぇッ!」

同時に、少年達が動いた。
向かってくる敵を見ながら、正臣は後ろにいる名前に向かって言った。

「後ろ、任せたぜ親友!」


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