歪んだ愛に溺れて

□心は泣いていた
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「で……二人はとうとう両想いになったらしいね。どう?その後の生活は」

「そりゃもうラブラブな毎日をぐべらッ!」

力強い拳が、新羅の鳩尾にのめり込む。
体をくの字に曲げて悶えている新羅を見て、中学生の頃を思い出した。

「新羅も成長したんだねえ。でもごめんねセルティ。新羅のファーストキスは私が奪っちゃったんだよね……不慮の事故で」

「あれが不慮の事故!?確実に名前ちゃんの策略だったよね!?」

『策略?お前達付き合ってたんだろ?』

「「は?」」

冷静にそう告げたセルティに、新羅と同時に声が出た。

「セルティなんてことを!僕は昔からセルティ一筋だったのに!」

『いやだって、名前はしょっちゅう家に来ていたし、仲良さそうだったから』

「まあね。新羅とまともに話せる女子は私くらいだったから」

「名前ちゃんの本性を知ってたのは私だけだったし。っていうか……なんで名前ちゃんはさも当然のように家でくつろいでるの?」

「え?」

ティーカップを置いて、携帯で時間を確認する。

「静雄との約束の時間までまだあるから」

途端に新羅が険しい表情になる。
眼鏡の奥の瞳がギラリと光った。

「まだ静雄と続いてるんだ?」

「そうだけど?」

「……どうなっても知らないよ」

どうなるか、なんてその時にならなければ解らない。
静雄が黙って引き下がるか、今までの男のようにすがり付いてくるのか。それとも、また違った反応を見せるのか……。

『他人の恋愛にとやかく言うつもりはないが、いずれお前が苦しむことになるんじゃないのか?』

本来顔があるはずのセルティの黒い煙を見つめ、臨也のもとにある首を思い浮かべた。

「そうだね。一度苦しみを味わってみるのもいいかもしれない」

何が起ころうとも、最後に残るのが臨也ならばそれでいい。


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