-Crow-
□重なる大切な人
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『クロウさん!』
俺の名前を呼びながらシラサギが階段を上がって来る。
だが無視して階段をいつもより早めに上がった。
近寄るのが怖かった。
人間は簡単に壊れてしまうから…
俺達にはどうってことないあんな高さでさえ壊れてしまうのだから…
そんな俺に飽きもせず必死について来るシラサギに、胸が更に締め付けられる。
『クロ…っ…きゃっ!!』
クロウ「!」
その声に反射的に振り向けば階段を踏み外して後ろに倒れそうで、思わず手を引いた。
…チッ
俺の馬鹿…
『す…すみません…』
クロウ「…どうして待てなかった」
『…ぇ?』
突然の問いに固まる。
クロウ「帰ってきたら…何処へでも連れて行ってやるのに…」
『クロウさん…』
クロウ「シラサギ…」
ギュッ…
掴んでいる手の力が強まっていく。
真剣な眼差しは瞬きもせずシラサギを捕らえて逃さない。
クロウ「お願いだから危ないことはしないでくれ…」
さっきの面影はなく、悲しく何かを恐れているような瞳で…今にも泣き出しそうだった。