-Crow-

□見送る背中
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チュンチュン



暖かくて…樹の香りが鼻を優しくつく。

瞳の上から当たっているであろう優しい木漏れ日は暖かくて再び眠りを誘う。


シラサギはゆっくりと瞳を開いた。


…ここは…?




見馴れないベッドにフカフカの布団。
黒い肌触りの良い羽が少しくすぐったい。







ん?







…黒い







…羽


…?








勢いよく横を見ると、隣には真っ白な羽毛布団の上に丸くなりながら縮こまって眠るクロウがいった。


驚き過ぎて声がでない。
口をぱくぱくさせていると人の動く気配に気づいた様に、ん…と身じろぎした。

シラサギの肩にまで掛かった黒い翼は身体を撫でるように覆いかぶさる。


それにビクリと身体が跳ね上がれば、呼応するようにゆっくりクロウの瞳が開かれた。

開かれた瞳はシラサギを見ると、普段居るはずのない存在に理解仕切れていないのか瞬きを繰り返す。



ぁあ、と思い出したかのように呟けば、




「…はょ…」




それだけ言うと再び眠りについてしまった。






ちょっ、まてまてまて。






私…いつ一緒に寝…。




隣を意識してしまい心臓がどうにかなりそうだ。


核心には触れない。
触れてなるものか。

一緒に寝てたなんて知らないやい。




取り乱しそうになる自分を抑えて、恐る恐るその顔を覗く。


光りに当たるその横顔は淡く包まれ綺麗だった。


普段からは考えられない程あどけない寝顔

キリッとした眉はいつもより優しい

鼻筋が通っており、薄く開かれた唇に自然と目が行く。



ダメだ…見てたら顔が熱くなっちゃった…


一人で赤くなってる事が更に恥ずかしくていてもたってもいられなくなり、クロウを起こさないように部屋を出た。




カチャリと閉まったドアをクロウは見つめていた。



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