short novel

□僕と誕生日とチャイナ服
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「瑞希、誕生日おめでとう!」
「えっ、姫路さんって、今日誕生日なの?」
「はい、そうなんですっ!」
「そっか。おめでとう、姫路さん」

姫路さんは、今日が誕生日なのか。
覚えておかないと。
でも、いくら知らなかったとは言え、何も無いんじゃ、申し訳ないな。

「そうだ。何か欲しい物とかあるかな?」
「へっ!?欲しい物ですか……。それなら、1つお願いしてもいいですか?」
「僕にできることなら」
よかった。
これで、姫路さんの誕生日をちゃんと祝える。
やっぱり、言葉だけだと、悪いからね。

「それじゃあ明久君!これを着てくださいっ!」

前言撤回。
全然よくない。
何これ?何のバツゲーム?
何故か、学園祭の時のチャイナ服を出して、目を輝かせてる姫路さん。
そもそも、何でそんなの持ってるの!?
「……姫路さん、それ、本気で言ってるの?って、ムッツリーニも、カメラ構えないでよ!」
くっ!僕の写真なんて、何に使うんだ……!

「姫路よ、その辺にしておけ。明久は、姫路にケーキでも作ったらどうじゃ?」
流石秀吉。
すかさず、フォローに入ってくれた。

しかも、ケーキを作るなんて、女の子らしい案だ。
やっぱり、秀吉も女の子なんだね。


「アキの作ったケーキって食べてみたいわね」
「はい!あの、明久君。作ってもらってもいいですか?」
よかった。
チャイナ服は諦めてくれたみたいだ。

でも、ケーキか……。
「あんまり作ったことないから、上手く作れるか分からないけど、それなら、お安い御用だよ。でも、ケーキなら、家でもあるんじゃないかな?」
「はぅ!そうでした。それに、食べ過ぎると、また太っちゃいますし……

ケーキは難しいか。
それなら、どうしよう。
うーん……、見事に振り出しに戻ったな。

「やっぱり、これを着ていただくしか……」
ヤバい。身の危険を感じる。

「明久、ここは男らしく着るべきだろ」
「そう言う雄二は、霧島さんの誕生日にチャイナ服を着るのか!?」
「なっ……。誰が着るか!俺に女装の趣味はない」
「僕にだってないよ!」

「さぁ!明久君、着てください!」
「…………うっ」
目を輝かせてる姫路さん。
どうやって逃げればいいんだ!

「アキ、大人しく着るのよ!」
美波まで……!
って、間接技決まってる!
腕がぁぁぁ!
指の血色がおかしくなってるんだけど!



その後、秀吉に着付けをされて、僕は男として、大切なものを失った。




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