long novel
□探しモノ
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【第一箱】なんだ、アイツ?
7月13日(金)
私は目安箱の前にいた。
毎週金曜日に来ているが、一年十三組兼一年マイナス十三組所属の私が投書すると、どんな事が起きるか、嫌な想像が膨らむ。
だから、投書できないまま、今に至っている。
4月13日(金)から来ているから、もう6回目、約1ヶ月半と言うことだ。
今日も、十三組生徒では、珍しく登校し、目安箱の前に来て悩む。
投書するか否か。
そして、投書できず、帰ることにした。
「どうしたんだ?」
いきなり声が聞こえた。
…………後ろに誰か居る。
振り向くと、生徒会庶務・人吉善吉が、突っ立ってた。
……もう回収の時間か。
「何でもない」
これが、私の答えだ。
だから、人吉に背を向け、歩き出す。
「なんだ、アイツ?」
人吉の声が聞こえたが、気にしない。
そして、その場から立ち去った。
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