long novel

□無声の歌姫
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俺はいつもの3人と昼食を食べていた。
いつも通り、口の中がワンダーランドだったけど。



でも、いつも通りじゃない事が起きた。


「どぃてえぇぇぇぇぇぇ」

頭上から、屋上から、大きな声が、女の子が落ちて来る。

あー、こう言う時って不幸吸引体質の俺の上に落ちてくるんだよなー。
って、女の子!?
何で!?


そんなこんなで、女の子は見事俺の上に落下。

「祐喜様!!ご無事ですか!?」
「祐喜殿!!大丈夫ですか?」
「おい、祐喜!大丈夫か?」

3人は、いつも通りの反応か。

そして、落ちて来た女の子は、
「いったぁ……。ごめんなさい。君、大丈夫?」
俺に謝罪を入れた。


見た感じ、怪我は大丈夫そうだけど……。


「あはは……、慣れてるから。君の方こそ―――って、玉手さん!?」
全然気づかなかった。
彼女が、同じクラスの玉手 葉乙さんって、ことに。

「あっ!桃園君?」

やっぱり、玉手さんだったんだ。


あれ?
でも、何か、いつもと違うと言うか、違和感ある気が……。
何だろう?




思考してる最中、彼女の表情が、険しいものへと、変化した。

「もう……、来たか」
小さな呟き。

どういう意味だろう。



でも直ぐ、嫌でも理解できた。


―――彼女が落ちて来た屋上から、水を使った猛攻が放たれたから。
一言で“水”と言っても、それはまるで鉄砲の様に鋭い弾丸だった。
多分、当たれば無傷じゃないはず。

でも、こんな時って、絶対俺に向かって来るんだよな……。

「桃園君!しゃがんで!!」
玉手さんは、それを言うや否や、俺の頭を押さえた。
「『我が身よ護りし盾 今ここに現れ矛を砕きされ』『天恵』」


えっと……、先ず彼女は、何か呪文の様な言葉を発して………。
次に、懐から御札の様な物を出して、水砲弾に向けたよな。

で、攻撃が直撃。
同時に放たれた衝撃。


思わず目を閉じていた。
そして、恐る恐る瞼を上げてみる。



「……」

平然と仁王立ちしてる玉手さん。
でも、彼女の掌(てのひら)からは、何かのアニメに出てきそうな、透き通った、結界みたいな物体が、広がってた。
それで攻撃を防いでる。



「雪代!頼む!」
「はい!祐喜様!!」

この場では、翔べる方が速いはず。
雪代なら、大丈夫だろう。
だから、雪代に頼んだ。




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