ウカレモノ

□欠陥同士の無為式
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彼を見かけたのは、大学に入学してから程なくした頃だった

高校までの自分をリセットして、心機一転。
頑張ろう、って決めたのに

「変わりたいと思う気持ちは自殺だよね」

本当の、本物の。
私なんかの比じゃないくらいに異質で異常なヒト

彼に、出遭ってしまった

憧れていなかった、と言ったら嘘になる。
だからと言って、憧れていたわけじゃない

強いて言えば――惹かれたのだ

私と同じ種類の、あまりにも欠けている存在に

私の引いている、欠陥品だって劣等感のあるヒトならあるはずの――境界線

彼は、知らないから無視しているんじゃない。
知っていて無視している

なんて。なんて弱い【つよい】ヒトなんだろう

彼と、話したい

そんな欲求が、私の中につのるばかり
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