ウカレモノ
□欠陥同士の無為式
1ページ/10ページ
彼を見かけたのは、大学に入学してから程なくした頃だった
高校までの自分をリセットして、心機一転。
頑張ろう、って決めたのに
「変わりたいと思う気持ちは自殺だよね」
本当の、本物の。
私なんかの比じゃないくらいに異質で異常なヒト
彼に、出遭ってしまった
憧れていなかった、と言ったら嘘になる。
だからと言って、憧れていたわけじゃない
強いて言えば――惹かれたのだ
私と同じ種類の、あまりにも欠けている存在に
私の引いている、欠陥品だって劣等感のあるヒトならあるはずの――境界線
彼は、知らないから無視しているんじゃない。
知っていて無視している
なんて。なんて弱い【つよい】ヒトなんだろう
彼と、話したい
そんな欲求が、私の中につのるばかり