青き夢
□過去を聞かせて
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sideN
オレ達は嫉妬する。
イルカ先生はオレの未来に。
オレは、イルカ先生の過去に。
「せーんせ。鼻の傷どうしたんだってばよー」
いつもの様に、イルカ先生の家に来て、二人でご飯を食べながらオレは聞いた。
「ん?これか?」
そして、イルカ先生はいつものように優しい笑顔で答えてくれる、はずだった。
「これ、は…」
オレは知らなかったのだ。
イルカ先生があんなに苦しそうな顔をするなんて。
あんなに苦しそうな顔で、「すまん、ナルト…。今日は、話せない。ごめんな…」と呟くなんて。
あれから数日。イルカ先生とは少しきまずくて、家には行っていない。
ご飯といえば、オレの家でのカップラーメンが日常になった。
イルカ先生ん家でのご飯も、一楽でのラーメンも、ぜーんぶなし。
そう考えると、何かが胸をこみあげてくるのを感じたけど、首を振って「なかったコト」にした。
だって。
「なかったコト」にすれば、自分で自分を守っていられるから。
村の人たちが、自分を見る目も、九尾のことも。
オレが火影を超えて、「なかったコト」にすればいい。
そうしたら、オレはずっと笑ってられる。
イルカ先生が、前にオレの頭をなでながら何か言っていた気がする。
あれ。
おかしいな。
イルカ先生のことを思い浮かべただけで涙が出てくるよ。
やっぱり、イルカ先生のこともなし。
「なかったコト」。
なんでかな。胸が痛いよ。今日は、早く寝よう。
なんでかな…。