青き夢
□大切なもの
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人は、何か大切なものがなければ生きられないらしい。
以前どこかでそれを聞いた気がする。
ああ、そうだ。母が昔、子守唄を歌った後にそう言っていた。
それならば、オレには今大切なものがあるのだろうか。
「サースケくん。どうかしたの?」
変な頭で覗き込んでくる、軽そうなこの上忍が俺は苦手だ。
バカに見えてバカじゃない。
軽く見えて軽くない。
人は見かけによらない、という言葉を体でしめしている。
「…」
無視して顔を背ける。
俺と同じ写す瞳を持つ上忍。
同じでも異なるもの。
奴は眼を制御できない。奴はうちは一族ではない。奴はいつも写輪眼が出しっぱなしで、額あてで隠している。
何かが違う。何かが変だ。
違うのに、どうしてこんなにもこいつの瞳は澄み切っている?
その事実から逃れるように、首を振った。
今は考えたくない。考えてしまえば、胸が苦しくなる。
その眼に見つめられたくなる。
まるでこの上忍に…
恋 を し て い る よ う な