青き夢

□積もった想い
5ページ/6ページ

sideS

今日は、三人一組の班でのDランク任務だ。
オレはいつもより少し早めに家を出た。

顔に当たってくる風が冷たいけれど、今日は少し歩きたかった。

最近カカシのことばかりを考えている。

どうしてだろう。

出せない手紙も十七枚になった。
今夜あたり十八枚目を書こうか。

何枚書けばオレの心がわかるだろう。

まるで蓮根を掘るように、泥の中を手さぐりしている。

「あの…」

気がつけば目の前に女の子が立っていた。
無視して通り過ぎようとした時、ピンクの封筒を押しつけられる。

「これっ…!カカシ先生に渡してください!!」

思わず受け取ってしまった。女の子はどこかへ走り去った。
放心したように手紙をみつめて、封をかってに切る。

手紙には名前と、ただ一行。

「好きです、付き合ってください」

そのシンプルな文面を何度も反復する。

出せなかった十七枚を思い浮かべて、少し泣いた。

オレだって、カカシに打ちあけたかった。
オレだって、カカシのことが好きなのに。

こんな簡単なことなのに。

気がついたらオレは家に戻っていた。慌てたように紫檀の箱を取り出し、一度も行ったことのないカカシの家に走った。
ドアを蹴破り、手紙ごと木箱を叩きつけて「好きだ」と叫ぶ。

拒絶されるかもしれない。しばらくは怖くて目をあげられなかった。

そうしたら、低く笑うような声と、「お前には負けたな」と言って同じような桐の箱。
それから、「オレも好きだよ」という囁き声――。

END

次後書き
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ