青き夢
□過去を聞かせて
2ページ/4ページ
sideI
ナルトに鼻の傷のことを聞かれた日からもう二週間がたった。
その間、あいつは一度も俺の家にご飯を食べに来ない。
廊下ですれ違っても、すっと顔を背けられる。
「ナル…」と小さい背中に投げかける俺の声が空虚に響いて、うつむいた。
教えてやればよかった。
「これは昔、二股かけてた女に、クナイで切りつけられた傷だよ」
そう言ってやればよかった。
今まで、誠実でいたこともないのに、ナルトにだけは誠実でいたいと思った、これは罰か。
ならばせめて、遠くからもう一度だけでもナルトに会いたい。
そう思った時、オレンジ色のジャンパーが目にうつった。
栗の木の下で腕立て伏せのような動作をしている。
「…?」
何をやっているのだろうと見ると、ナルトにちょうど押し倒される格好でサスケがいた。
二人も、服こそ脱いでいないが、ナルトの顔は上下している。
(キスをしている…?)
ちくり、と胸が痛んだ。
「そうだよ、な。ナルトは若いんだ…」
ぽつり、と声が漏れた。
今日はナルトの家に行こう。
サスケという新しい恋人ができた今、オレなんて必要ないだろうと。
もうこんなのはたくさんだと言おう。
オレに二股をかけられた彼女も、きっとこう考えていたのだろうと、顔も忘れてしまった女に心でわびた。