book1-inazuma-
□その箱の中には
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何か恐ろしいものが入っているのではないかと思っていたから、はっきり言って少し拍子抜けしてしまった。
「頑張ったってこうゆうことか。でもあの不器用な風介がよく作れたな。あれ、手紙がついてる…」
手紙を見たあと蓋を開けて、俺は勢い良く屋上を飛び出した。
「風介!来い!」
「え!ちょ…」
教室にいた風介の手をひいて再び屋上へと向かう。
屋上に着いた途端、俺は風介を抱き締めた。
「お前ベタすぎ…ハートのでんぷんの上にのりで大好きって…ほんとかわいい。」
「手紙に書いただろうっ…だからあれは…」
「どっちにしても嬉しいんだよ。ありがとう、風介。」
「…うん。」
俺の言葉に、風介が微笑んだ気がした。
そんな風介がかわいくて、さらに風介を強く抱き締めた。
『いつもありがとう。いつか、晴矢にもっと上手に作れるようになるから、ずっと側にいて。これは私の気持ちです。』