book1-inazuma-
□その一言が
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「涼野さんの腫瘍を取り除くのは・・・難しいです。」
いつだったか。
医者にそう告げられた。
風介が練習中に頭を抱えて倒れた。
そんな風介を病院に連れて行った先にあったのは、信じがたい現実だった。
それからは風介にとって、苦痛の日々だった。
「いたっ・・・」
「風介!?」
「あ・・・たまが・・・」
時折襲いかかる、強烈な頭痛。
「うっ・・・おえ・・・」
激しい嘔吐。
全て風介の脳に住みつく、腫瘍が引き起こしたものだ。
そんな体になってもまだ風介は大丈夫と言って笑う。
どうして笑うんだよ。
どうして、強がるんだよ。
俺はただ何もできず、ただ傍にいることしかできなかった。
どんなに懇願しても、神には届かず、風介は日に日に弱っていった。