book1-inazuma-
□まるで天使のような
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「えっ…えーと…」
これは夢だろうか。
プロミネンスの練習が終わって、部屋に戻ると、ガゼルがいた。
俺のベッドの上で、俺のパジャマで、くまのぬいぐるみを抱えて眠っていた。
「ちょ…ガゼル…え…?」
突然の出来事に、俺は頭がついていかない。
そんな俺を無視して、気持ちよさそうに眠っていたガゼルがうっすらと目を開けた。
「ん…あ…晴矢…」
「え!?」
いつもはバーンと呼ぶガゼルが、今日は晴矢と呼んだ。
驚きのあまり、俺は声がでなかった。
「晴矢お帰りなさい。待ってたんだよ。」
何なんだ。
このかわいいガゼルは。
ガゼルには少し大きい俺のパジャマを身にまとって、首を傾げて微笑むガゼルは、まるで天使だった。
「あ…あのさ…ガゼル…」
「だめ…」
「へ??」
「風介、だよ。」
風介は頬を膨らませてそう言った。
こんな表情豊かな風介は、いつぶりだろう。