book1-inazuma-

□ありがとうの言葉と共に
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あれ・・・?
ここは・・どこだ?


「う・・・ひっく・・・」


誰か・・・泣いてる・・・


「ふっ・・・うぅ・・・いや・・・嫌だぁ・・・」


どこかで、聞いたことのある声。


「怖い・・・怖いよ・・・」


あぁ、そうか、これは。


「一人は・・・嫌だよぉ・・・」


昔の、私だ。


「誰か・・・助けてよぉ・・・」



あの頃の私は、正面から人と向き合えなくて。
大声で助けを呼びたいのに、呼べなくて。
いつも一人で泣いて震えて。
闇の中を、さまよってた。


「誰か・・・」


闇に向かって手を伸ばす。
誰も取ってはくれないと、知っていながらも。



「どうしたんだ?なんで泣いてるんだ?」


突然現れた、光。


「別に・・・何も・・・ない。ただ・・・一人が・・・」


「一人?一人じゃないじゃん。」


「え・・・?」


「俺がいるじゃん!」



その言葉は、とても優しくて。


「俺、南雲晴矢!お前は?」


「涼野・・・風介・・・」


「そっか!じゃあ風介!これからよろしくな!」


差し出された手は、少し私より大きく温かくて。


「・・・!!・・・うん!」



その笑顔は、とても、眩しいくらい明るかった。
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