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□二面相
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「こんにちわ、アントーニョさん」
「うぜえ、話しかけんな」
何だこれは
俺の頭の中では2人の人物が行ったり来たりしている。
いや、2人の人物?
違う。
2人の同一人物・・・・・・だ。
*
俺が狂いだしたのは、アントーニョに告白された時から。
しかし、
その告白は、告白じゃなかったらしい。
「ごめんな、今の嘘やねん」
告白されて、俺も・・・と言おうとした時。
かき消されたその言葉。
「ごめんな、ロヴィーノ」
「うぜえよ、喋りかけんな」
「ロヴィーノ・・・・?」
「きもい。
失せろ」
俺はそう吐き捨てて自宅に帰った。
上手くポーカーフェイスを装えたと思う。
自分で分かるくらいに。
でも、頭の中はアントーニョの言葉でいっぱいだった。
何で・・・。
嘘、なんだよ・・・・・。
*
ロヴィーノが狂いだしたのは、俺が告白した時から。
いや、"未遂"だったのかもしれないけれど。
「俺・・・ロヴィーノが好きやねん」
「・・・・・・」
俺が告白したのも、好きなのも全部全部本当。
ロヴィーノを同姓だとしても、愛していたし
愛しかった。
だけど、
俺が告白してからうつむいたままのロヴィーノを見て俺は確信した。
これは"いいえ"だと。
その時間があまりにも辛かったので、俺は最低な事を言った。
「ごめんな、今の嘘やねん」
*
俺は家に帰って部屋に閉じこもった。
弟のフェリシアーノはまだ帰ってきていないらしい。
俺は1人ベッドで泣いていた。
それがどれだけ情けないことかも知っていた。
けど、涙が止まなかった。
「くっそ・・・・
俺じゃ、駄目なのかよ・・・」
もう嫌だ。
何もかも。
明日アントーニョに顔を合わせたくない。
学校に行きたくない。
行きたくない。
生きたくない。
逝きたくない。
「もう・・・・・・
嫌だ・・・」
俺はそのまま眠りについた。
*
俺はロヴィーノに合わせる顔が無かった。
しかし、ロヴィーノは何故鳴いていたのだろう。
こういうとき鈍感というのは本当に困る。
「俺が・・・男やのに好きなんていったから・・・
軽蔑されてもうたかな・・・
きもいって言われたし・・・・・」
俺はそのまま眠りについた。
目を開けたとき、もう学校は完璧に遅刻な9時になっていた。
今更行ってもなあ・・・。
そう思い今日は休むことにした。
そう思っていると一本の電話が入った。
思い受話器を取るとそこには良く知っている
フェリちゃんの声が聞こえた。
声は、いつもとは違い穏やかじゃなかった。
「アントーニョ兄ちゃん!!!!
大変なの!!
・・・兄ちゃんがあ・・・!!」
俺は急いでロヴィーノの家に戻った。
*
何で?
俺は何でこんな所にいるんだろ。
此処、何処かな。
それに変な男もいるし。
此処、俺の家じゃないよな。
そうしたらいきなり、変な男がまた来た。
長髪の奴や、銀髪の奴、俺と見た目が似ている奴。
そして最後に来たのは・・・
「ロヴィーノオオオオ!!?」
でかい声を出してる男。
五月蝿いよ?
注意したのに、この男は聞きもしない。
馬鹿。
「ロヴィーノ!!?
ロヴィーノ・・やんなあ!!??」
「アントーニョおちつけって」
長髪の奴が、でかい声を出す男を注意した。
すると収まった。
俺では駄目だったのに。
「馬鹿」
そう言ってあげた。
駄目だなあ。
そう言うと、その男はいきなり抱きついてきた。
男同士で、気持ち悪いな。
「離れてください。
気持ち悪いです」
そういってあげた。
なのに、俺の言ってることは正しいでしょ?
なのに、何でそんな顔してるの?
目を見開いて、絶望に満ちた顔。
嗚呼。
良く分からない。
何が、どうなっているの?
つづく
clap内で続きます。
このお話は次のお話を更新する時にLongにおいておきます。
たまに、これを抜かして短編を更新するかもです、すいません。
でわでわ!