Breakage Shop

□言刃 〜ソウサク〜
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ラスベガスでの騒動から一週間弱が経ち、あれからまるで何事も無かったかのように穏やかな日々が過ぎていた。

そう、まるで何も起きなかったように日々が過ぎ去り、再び店で働いていた…のだが…。





「くだらん」



時は流れ七月八日、月曜日の午後十七時。

この日、由利と一魔の会話は彼の一言から始まった。
由利に庭掃除をやらせる傍ら、一魔は彼女を監視するように縁側に置かれた椅子にもたれかかるように座りつつ、黒いスマートフォンの画面を下へスワイプし、「全く以てくだらん」と続けて呟く。

何がくだらないのか。いや、それよりも一番由利が声を出してツッコミを入れたのが…


「一魔店長…スマートフォン持ってたんですね…」

「持ってて悪いのか」

「この割れた鏡の需要性が無いのですが。」


一魔がスマートフォンを持っていると言う事だ。
その真実が発覚してすぐ様由利が割れた八咫鏡を持ってる需要性が皆無となったのが明らかになった。

更に言えばアドレスを登録して、今度からそっちで連絡して欲しい所。
だが一魔は画面をスワイプしつつも「別にアドレスを教えてやっても構わんぞ」と言いだす。
彼のその言葉に由利はウキウキとスマートフォンを取り出し、「え、いいんですか?」と歩み寄る。


「その代わり、次圏外になるような場所に連れて行かれても助けんがな」

「すみません何でもございません」


のだが、彼から当然な一言を言われ、由利はそっとスマートフォンを上着のポケットに仕舞う。
当然と言えば当然だ。いつまた妖や都市伝説で圏外になるような場所に連れて行かれても、助かると言った保証は何処にも無い。

故にその為の割れた八咫鏡である。


「て言うか、一魔店長」

「今度はなんだ」

「二目さんとエルザさんはどこ行ったんですか?」


ふと由利は館に二目とエルザの姿を見られない事に気付く。
先程から二目の腹ぺこを訴える声も聞こえない。それを問い掛けると、一魔は大きく欠伸をし、答える。


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