Breakage Shop

□参道 〜ロクガツ〜
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6月15日。土曜日。
世間一般的には特に何も無い至って普通の休日。
そう、普通の人にとってはだ。

しかしBreakage Shopでは大事な日でもあった。




「おはようございまーす。」

「おはよう由利ちゃん。」

「二目さんおはようございます!」


土曜日の朝8時。
由利は店を訪れ、玄関を開くと二目が既に立って待っていた。まるで今から由利が来る事を分かっていたかのように。
「二目さん何かあったんですか?」と由利が彼女に問い掛けるも、二目は首を横に振って答える。


「エルザのお迎えよ?」

「お迎え…って!あの人昨日から帰っきてないんですか?!」

「そりゃそうよ?だって御使いですもの。」

「(あの人何処まで御使いに行ったのだろう…)」


なんとエルザが昨日の御使いから帰ってきていないのだ。
いくら何でも日を跨いで未だ帰って来ないと言うのは不思議を通り越して不安過ぎる。
かと言ってあのエルザが道に迷ったと言うのは有り得ない。


「じゃあ二目さんはなんでエルザさんを待ってるんですか?」

「えぇ、実はね…」

「俺から話そう。」

「あっ、一魔店長」


由利が二目に疑問を投げ掛け、二目が答えようとした時だ。一魔が珍しくもヨレヨレのシャツのうえに緑色のパーカーを着て私服に近い身形をし、客間から出て来たのだ。


「これから俺は出掛け、店を開ける。それをエルザに伝えてもらうからだ。」

「お出掛け?ついこの前出掛けたのにですか?」

「今日は…な。そうだ、お前も来い。」

「えっ…」

「何故そんな嫌そうな顔をする。」


何故…と言われても、彼と出掛けるとなれば必ずろくな事にならない気がしてならない。
ここで働き、由利はそう思うようになった。


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