Breakage Shop

□怪奇 〜デンセツ〜
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都市伝説。
現代の都市で生まれ、広く口承される根拠のない噂話。

誰が作り出したかも分からないので信憑性は無い。…のだが。
彼女が働くBreakage Shopもまた、この街の都市伝説の一つ。


「ひそひそ(ねぇ聞いた?何でも壊してくれるBreakage Shopの噂)」

「ひそひそ(あれって都市伝説なんでしょ?)」

「ひそひそ(えっ、そうなの?何人かそのお店を見たって人が居るよ?)」


とある教室で二人の女子は授業中と言うにも関わらず、教師の目を盗んでひそひそと話を始める。
Breakage Shop。一魔が営む店でありら由利がバイトとして働く店。
二人はその店が都市伝説かただの噂話か否かを話していた。その時だ。


「つまりこの言葉の意味は…聞いてんのかー、お前ら」

「「は、はい!」」


授業の内容を話しながら黒板に文字を書いていたポニーテールの女性教師は背中を見せつつも、授業の内容を聞かずにお喋りをする二人に一喝をした。
すると女性教師は何かの気配を感じたのか、振り返って窓際の席に視線を向ける。

その視線に教室中の生徒達も席に視線を向け…彼女は教科書を持ってその席に歩み寄る。
そして…


「起きろ」

「ふがっ…!」

「アタシの授業中に寝るたぁいい度胸だな」

「(ハッ…しまった…)」


無慈悲にも寝ていた由利の頭に教科書の角が降り注ぐ。
これには由利も目を覚まさない訳もなく、頭を抱えて目の前に立つ人物をゆっくりと見上げる。


「随分と気持ちよさそうに寝てたねぇ、高見華さんや?そんなにアタシの授業は退屈か?」

「カ、カナミ先生…そう言う訳では…」

「放課後職員室な」


まるで鬼のように相手の言い分を有無を言わさない唯我独尊っぷりに由利は「あぁ、遂にやってしまった」と言わんばかりに更に頭を抱えて溜息を吐く。


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