銀魂

□誰にもお前を渡さないSide九兵衛
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入学式から大分たって、もうすぐ夏休みになろうという頃になってた。

僕は本当に大学に入ってよかったと思いながら大学に通ってる。
友達も出来たし、毎日が楽しい。
今も、僕はゼミが同じ子達と一緒に学食で昼食をとっている所だ。

「九ちゃんって、いつもいい香りがするよね。
香水は、なにを使ってるの?」
同じゼミの子に急にそう聞かれて
「アマリージュっていう香水だよ。
愛と結婚って意味の香水らしいよ。」
と答える。

「へぇ、新婚さんにぴったりの香水だね。」
別の子がそう言った。

そしたらゼミが同じで一緒に昼食をとってた近藤くんが
「旦那さんからのプレゼント?」
と聞いてくる。

「うん。」
僕は近藤くんから目をそらしてそう答えた。

「いいなぁ、九ちゃんの旦那さんってカッコいいし、車で送り迎えしてくれるし、本当にうらやましー。」
「ほんとだよねー、うらやましいよ!
カッコいいもんね。」
同じゼミの子たちがお兄ちゃんを褒めるのを僕は作り笑いを浮かべて適当に相槌をうちながら聞いていた。

「近藤さん。」
その時、土方くんが近藤くんを呼ぶ声がした。
振り返ると、土方くんが数人の男の子と一緒に学食に入ってきたところだった。

「おうトシ、今からお昼か?」

「ああ、講義がちょっと長引いて今からだよ。」
土方くんがそう答えた。

「教育学科の土方くんじゃない?」
「南戸くんも北大路くんもいるー。」
「かっこいいよねー。
合コンしたい!」
こそこそと女子たちが話している。

僕はその言葉に胸の中にもやもやした感情がわきあがってくる。
これは多分、嫉妬だ。

土方くんは高校時代から女の子にもてたし、大学でももてる。
うちの学科でも土方くんをかっこいいといってる子は何人もいる。

その度に僕はもやもやしたものが胸の内に湧き上がる。

けど、そんな事僕は言える立場じゃない。
僕が土方くんにしてることは、もっともっとひどい事だから。

僕は黙って残ってるミートソースをフォークを
使って巻き始めた。
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