銀魂

□花魁道中
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「おい、何を怒ってんだよ。
久しぶりに会ったっていうのに、そんな態度はねぇだろ?
花魁が客に手酌で酒飲めってか?」
土方はそう言って目の前の遊女の中でも最高位にある花魁・柳を睨む。

ここ池田屋は、この花街でも一番の大見世だ。
そこの最高位、この花街にも数人しかいない花魁である彼女を睨みつけることができるのは、武装警察真選組副長・土方十四郎くらいしかいないだろう。

「こない長い間放って置かれて、わっちは悲しいでありんす。」
そう言って袖で顔を覆ってみせる目の前の花魁に
「白々しい芝居すんじゃねぇよ、九兵衛。」
と声をかけたら、柳と呼ばれるこの花魁は、ふんと鼻を鳴らして土方をみた。

小生意気な表情だ。

でも、この顔でいてくれた方がよほどいい。
自分以外にも見せる、遊女の顔した彼女など見たくはないのだ。
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