銀魂

□誰にもお前を渡さないSide高杉
1ページ/3ページ

「高杉係長、頼まれてた書類できました。」
そう言って俺のデスクに書類を持ってきた女の方を見もしないで書類を受け取る。

が、女が自分のデスクに戻ろうとしたときにふっと鼻を掠めた香りに思わず女を呼び止めてた。
「おい、香水かなんかつけてるか?」
「あ、はい。
気が付いてくれて嬉しいです。」
女は首をかしげてにっこり笑う。

「何ていう名前の香水なんだ?」
「アマリージュです。
愛と結婚っていう意味の言葉を合わせた名前なんだそうですよ。」
女の言葉に俺は
「それどこで買えるんだ?」
と聞いていた。

「ネットでもデパートでも買えますよ。
ジバンシィのフレグランスですから。
どうかしたんですか?」
「最近、仕事が忙しくて家に帰るの遅かったんだが、今日は早く帰れるから妻に買ってやろうかと思って。」
「……きっと奥様、喜びますよ。」
「だといいんだがな。
呼び止めてすまなかったな。」
「いえ。
でも、羨ましいです、高杉係長の奥様が。」
「そんな事ねぇと思うがな。」

そう言って俺は書類に目を落とした。

九兵衛はあんまり化粧とか香水とかアクセサリーに興味がない。
つけてるアクセサリーと言えば、結婚指輪くらいだ。
日焼け止めだけは塗ってるようだが、化粧もしない。
服だってあんまりほしがらないから、一緒に買い物に行ったときに俺が選んでるくらいだ。

だからどうせなら、全て俺の選んだものを身につけてほしい。
香水も、アクセサリーも化粧品も。

独占欲の現われなんだろうか、最近は特にそう思うようになっていた。

俺が普段から使ってるエゴイスト・プラチナムの移り香が九兵衛からふんわり香るのもいいが、俺の好きな香りを九兵衛に纏ってもらうのもいいかもしれねぇ。

昼休みに社の近くのデパートに行ってみよう、俺はそう思っていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ