銀魂

□桃の節句と花言葉
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「今日は依頼で来たんです。」
そう言って万事屋をたずねてきたのは志村妙だった。
「え?
万事屋に依頼ですか?
一体どうしたんです、姉上?」
新八は驚き、銀時は
「槍でも降るんじゃねぇの?」
と言って顔面で妙の拳を受け止める羽目になる。
「で?
何よ、依頼って。」
鼻血を拭きながら聞く銀時に
「九ちゃんって、今まで男の子として育ってきたでしょう?
だから桃の節句をしたことがないの。
柳生家では端午の節句しかしたことないのよ。
だから今年こそは九ちゃんのために桃の節句をやってあげたいのよ。」
暴力的な依頼者だが、友達を思う妙の気持ちはよく分かる。
それに柳生家に乗り込んだときに九兵衛の複雑な家庭環境を知って、あの涙を見て、なんとかしてやりたい、そう思う気持ちは銀時にも新八にも神楽にもあった。
万事屋はその依頼をうけることにした。

「っていってもなー。
桃の節句するなら雛飾りは必要だろ?
それを一体どうするかだよなー。
お妙の雛飾り飾っても、それ九兵衛の雛飾りじゃねぇからな意味ねぇ気がするしー。
かといって新しい雛飾り用意してやる金なんかねーし。」
妙と新八が帰った後、そうぼやく銀時に神楽が言った。
「銀ちゃん、それならワタシにすごくいい考えがあるヨ!
この間、奇面組とかゆーアニメでみたネ!」
そう言って自分の考えを話す神楽に、銀時の死んだ魚のような目も輝きだした。

妙も新八も翌日に銀時からその話を聞いて、大賛成した。
「場所は恒道館の道場内にすればいい。
着物は、あちこちをあたって借りればいい。
でさ、問題は隣に座るやつだよな。」
銀時の言葉に妙が力説する。
「それなら、私にいい考えがあります。
九ちゃんは最近、真選組の沖田さんと仲がいいのよ!
しょっちゅう、町であって沖田さんと甘味屋に言ったって話をしてくれるわ。
沖田さんは腹黒いけど顔は可愛いらしいし、九ちゃんだって可愛い顔してるから、並んだらきっと本物のお雛様みたいになるわよ!」
「えー、でもあの総一郎くんが協力してくれると思う?」
「そーアル、あいつサドあるヨ?」
「大丈夫ですよ、総悟はああ見えて、警邏中に九ちゃんと会うと話し込んじゃって戻ってこなくてトシがマジギレしてますからね!
九ちゃんのためならきっとやりますよ!」
いつの間にか現れた近藤は
「何でてめぇがいるんだよ!」
と妙に蹴り飛ばされながらも、大事な弟分が絶対にこの依頼を断らないだろうことを、確信していた。
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