銀魂

□繋がれた愛情
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南京錠を開け、扉の取っ手に厳重に巻いた鎖を解いていきながら、俺の胸は高鳴り始めていた。
ここを開ければ、俺の何よりも大事なものに会える。
解いた鎖を持ったまま、俺は扉の鍵を差し込む。
カチャッと音がして鍵が開き、力を込めると鉄製の重い扉がきしみながらゆっくりと開いた。
中にいた九兵衛が振り返る。
俺は部屋の中に入り、中から鍵をかけると、じゃらじゃらと鎖の音を立てながら俺の所に歩いてきて
「土方くん!!
お願いだからここから出してくれ!」
と懇願する九兵衛を抱きしめて口付けた。
なのに九兵衛は俺の腕の中で必死でもがく。
「なんだよ、せっかく恋人が会いに来てやったって言うのにその態度はねぇだろ。」
俺はそう言って九兵衛の頬に自分の手を添える。
「飯はちゃんと食ってるのか?
少しやせたんじゃないか?」
「当たり前だろう!
こんなところに閉じ込められて、もう一週間になる!
早くこの鎖を外してここから出してくれ!」
九兵衛が自分の右足首を指差す。
そこには足かせがついている。
鎖はこの部屋の中を歩き回れる程度の長さしかない。
「外すわけがねぇだろ。
外したらお前、どっかに行っちまうだろうが!」
「どうしたら信じてくれるんだ!
僕はどこにも行かない、ずっと君のそばにいる!
だからここから出してくれ!」
必死で懇願する九兵衛が可愛らしくみえて、俺は九兵衛をきつく抱きしめていた。
「ずっとそばにいてくれるなら、別にここから出なくてもいいだろ?
ずっとここで二人で過ごしていればいいじゃねぇか。」
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