銀魂

□桜姫
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「僕は柳生流を継ぎません。
道場の跡は、門下の中から優秀なものを選び、継がせてください。
そういうわけなのでいつまでも柳生家にいるわけにも参りません。
僕は一週間後、ここを出て行きます。
おじいさま、父上、僕は死んだものと思ってください。
東城、北大路、西野、南戸。
今まで、本当にありがとう。
ずっと僕に仕えてくれたのに何も返せなくて申し訳ない。
けれども、お前たちのおかげで僕は何度救われたか分からない。
これからはおじいさまと父上と一緒に、柳生流の発展に力を尽くしてほしい。」
その日、柳生流の道場は大騒ぎになった。
たった一人しかいない、柳生流の次期当主・神速の剣の使い手の柳生九兵衛が柳生家を継がないことと家をでることを宣言したから。
そのうわさは瞬く間に江戸に広がり、妙はすぐに柳生家に九兵衛に会いにいった。
現当主の輿矩はショックの余り寝込んでいるそうだ。
そして通された九兵衛の部屋の前では四天王が涙ながらに必死で九兵衛を説得しているところだった。
そんな言葉にも眉一つ動かさず、九兵衛は荷造りをすすめているところだった。
「九ちゃん…」
その様子に九兵衛の強い意志を感じて妙はそう呟くしかできなかったが、九兵衛は妙の声が聞こえたらしく顔をあげた。
そして、四天王に席を外すようにいうとお妙を部屋の中に招き入れた。
「九ちゃん、噂を聞いたわ。
本当に柳生流を継がないの?
本当に家をでるの?」
妙の声は震えていたが、九兵衛は薄く笑んだだけだった。
「九ちゃん…」
震える手で口元を抑えてる妙に九兵衛が言った。
「妙ちゃん、すこし散歩でもしないか?」
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