銀魂

□好きなのはあなただけ
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銀時と僕は手を繋いで町を歩く。
銀時は万事屋をしてるせいか、結構顔が広いみたいだ。
「銀さん、すんごい可愛い彼女だねェ。」
とかなんとか、声をかけていく人が多い。
「ああまぁね。」
銀時はそう言いながら、僕の手をぎゅっと握ってる。
それにしても、可愛い彼女って何のことだろう?
六人目の人にそういわれた時、僕は銀時にそう聞いた。
銀時は呆れたような顔をして、
「九兵衛のことだろ。
それ以外に誰がいんの?
逆に俺が聞きたいよ。」
と言った。
「僕?!」
思わず叫んでしまう。
「そう。
九兵衛さ、もっと自分に自信持った方がいいよ。
今日は女の格好してるけど、男の格好してたって俺はちゃんとお前が女だって分かったし。
お前は女なんだ。
綺麗だとかかわいいとか言われたら素直にありがとうって言っとけばいいんだよ。」
銀時の言葉に僕は自分でも顔が赤くなっていくのが分かった。
恥ずかしいけど、でも嬉しい。
土方くんは僕が男の着物着ていても女の着物を着ていても全然何も言わないし、興味はないみたいだから、銀時の言葉はすごく嬉しかった。
「赤くなっちゃってすごく可愛いなぁー、九ちゃんは。」
銀時はそう言うと、今度は僕の腰をグッと抱き寄せる。
「これも大丈夫だな。」
銀時の言葉に僕は頷く。
そのまま、僕たちはかぶき町を歩く。
相変わらず、銀時の知り合いらしき人に会っては声をかけられたけど、可愛いといわれるたびに、僕は銀時に言われた通り
「ありがとう。」
と言うようにした。
そうすると、相手もにっこり笑ってくれる。
今まで人からそういわれても恥ずかしくてそんな事ないですとか言ってたけど、ありがとうって言えばよかったんだ。
銀時がそれを僕に教えてくれた。
「銀時。
ありがとう。
銀時に、練習をお願いしてよかった。」
僕の腰を強く抱いて、しっかり密着してる銀時の顔を見上げて僕はお礼を言う。
銀時は僕の顔を目を見開いてみてたけど、その顔が徐々に赤くなる。
「銀時、顔が赤い…」
言いかけた僕は、いきなり銀時に強く抱きしめられた。
「ちょ…銀時…」
「抱きしめても大丈夫だな。」
銀時の声が耳元で聞こえる。
思ったよりずっとずっと近くで聞こえる。
そして銀時の心臓の音も聞こえる。
やや早いその音を聞いていたら、いきなり腕を強くつかまれた。
そしてすごい力で引っ張られる。
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