銀魂

□好きなのはあなただけ
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「あのさー、その行為に何の意味があるわけ?」
目の前でめんどくさそうにそういった銀時を僕は睨む。
「だから、練習だっていってるだろう!
土方くんに触れるための練習だ!
このままずっと、触れるたびに投げ飛ばしていたら、僕は土方くんに振られてしまうよ…。
だから、触られても平気なように練習をしたいんだ。
銀時の事は触っても平気だったし、だから練習に付き合ってくれ。
頼む、お願いだ。」
僕の言葉に銀時はため息を吐いた。
「それってさー、触れる男に触っても意味がないんじゃねぇの?
まぁ、それでもお前が練習して満足だっていうならそれでいいけど、もし投げ飛ばされたら銀さんも嫌なんだけど?
投げ飛ばされんのが嫌なのは、多串くんだけじゃないよね?」
銀時のいうことはもっとだ。
至極まともな、正論だった。
僕は肩を落とすと
「確かにそうだな。
無理を言って、すまなった。」
と謝った。
銀時のいう通りだ。
確かに、いくら土方くんと恋人同士になることが出来て浮かれていたからって、他人に迷惑をかけていいってわけではないんだ。
「いや、別に謝ることじゃねぇし。
それにさ、手を握ることはできたんだから、練習だっていうならそれ以上の事をしないとだめでしょ?
九兵衛、それを俺に許してくれるわけ?」
銀時が立ち上がって僕の前に来ると僕の顔を覗き込んだ。
「そのつもりだ。」
僕の言葉に銀時は驚いたように目を見開いた。
「まずは手を繋ぐ。
それから、腕を組む。
腕を組めたら、次は肩を抱いてもらう、それが出来たら…」
段階を説明し始めた僕を制して銀時は呆れたように
「あーもうわかったよ、わかった。
九兵衛くんはおこちゃまだったね。
いいから、もうほら出かけるよ。
町歩きながら練習しようね。」
と子供をあやすような口調で言う。
「おこちゃまとはなんだ?!」
僕は頭にきてそう怒鳴ったが、
「ほら、それくらいで怒るのがおこちゃまなんだよ。
はい、行った行った。
多串くんを投げ飛ばさないための練習したいんだろ?」
そういいながら銀時は僕の背中を押した。
そうだ、土方くんのためだった。
僕は
「行くから押すな。」
と言いながら、銀時と玄関に向かった。
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