銀魂

□愛の反対は…
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俺はチラッとその後姿を見かけて、ものすごい勢いで追いかけた。
今日こそは、総悟と別れさせなければいけない。
「おい、待て!
待て柳生!」
なのにあいつは…柳生は女の癖に歩くのがすごく早くて俺は思わずそう怒鳴っていた。
隊服姿の俺が通行人が何人もいる道の真ん中で柳生の名前を叫んだので、みんなが何事かとこっちを見ている。
そして名前を呼ばれた柳生九兵衛本人もうんざりしたような顔で振り返った。
俺はその間に走って柳生に追いつくと、その腕をしっかり掴んだ。
「痛っ…!」
柳生の腕を掴む手に力を込めすぎて、柳生は顔を顰めて小さな声を上げたが、俺は力を緩めることはしなかった。
「話がある。
こっちに来い!」
俺の言葉に柳生が俺を睨みつけた。
こんな顔をするんだ、こいつはやはりとんでもない女だ。
俺は痛がる柳生を無理やり裏路地に引っ張り込んで、そこの塀に押し付けた。
俺が押さえつけてる柳生の細い両肩の骨がきしんでるのが分かる。
「痛い!
離せ!!」
それなのに柳生は懇願なんかしない。
俺を睨みつけ、命令口調で離すようにいうんだ。
「離してほしかったら、俺の言うことを聞け。
総悟とは別れろ。
どうせ、セレブの気まぐれなんだろ!
飽きたら総悟を捨てるんだろ!
だったら、総悟の事を傷つける前にさっさと別れろよ!」
俺の言葉に柳生は俺をさらにきつい目で睨みつけた。
「何度言えば分かるんだ!!
僕は軽い気持ちなんかじゃない!
ちゃんと総悟くんを愛してるといってるだろう!
総悟くんだって僕を愛してると何度も言ってくれただろう!
君はそれで納得したんじゃないのか?!
なのになんで何度も総悟くんと別れろなんて君に言われなくちゃいけないんだ?!」
俺は柳生にむかついて肩をつかむ手にさらに力を込めた。
「痛いっ!」
柳生が悲鳴をあげて顔を歪める。
その目には涙が滲んでいた。
「俺が総悟の上司だからだ!
部下が傷つくと分かってて放って置けるわけないだろう!」
「なんで僕が総悟くんを傷つける前提で君は話をするんだ…。
僕は総悟くんを愛してるから傷つけたりしない。
何度言えば分かってくれるんだ…!」
話をしているうちに柳生はぼろぼろ涙をこぼし始めた。
それでも俺は涙なんかでほだされたりしない。
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