銀魂

□仮想家族
1ページ/9ページ

真選組幹部である近藤、土方、そして一番隊・五番隊・六番隊・九番隊の隊長と監察方の山崎はパトランプを鳴らし、猛スピードで柳生家に向かっていた。
柳生家から真選組に連絡があったのは、ついさっきの事。
連絡をしてきたのは柳生四天王筆頭の東城歩だった。
「若が、若がァァァ!!
大変なことに!!
早く来て、犯人を捕まえてくだされ〜!!」
それだけ叫び、あとはさめざめと泣く東城に要領をえず困っていた近藤に
「若が大変なことにって……もしかして九兵衛さんが賊に襲われて怪我したとかで、早く犯人を捕まえろってことなんじゃ…?」
とその電話の絶叫を聞いていた山崎が青い顔をして言ったのだった。
それを聞いたとたん、土方の顔からは一気に血の気が引いた。
土方は九兵衛を好きで、九兵衛も土方をどうやら好きらしい、二人はそういう関係だった。
不器用で素直になれない土方と、照れ屋で恋に免疫がなく羞恥心が先に来てしまう九兵衛の二人の事なので、なかなかお互いの気持ちを伝えたりは出来ないが、はたから見れば彼らがお互いにお互いの存在を意識しているのは間違いなく、いつくっつくのかなんて微笑ましく見守っていたのだ。
だから、土方にとって山崎の言葉がものすごくショックだったのだ。
それは二人がくっつくのを楽しみに待っていた近藤も例外ではなく、それで屯所に残っていた隊長の全てを引き連れて柳生家に駆けつけることにしたのだった。

柳生家についてパトカーが止まると真っ先に飛び出したのは土方だった。
その後に他のものたちも続く。
「真選組だ!!」
柳生家の玄関で土方がそう叫んでいるところに全員そろい、近藤が
「通報を受けてきた。」
と言った。
玄関には東城がいて何かを言うが大泣きしてて話が分からない。
「ちょっと、あんたじゃ無理!!!
誰かー!
誰かいませんかー!!」
近藤が東城を呆れたようにみて叫んだとき、
「静かにしてくれ。
せっかく寝たのにこの子が起きるじゃないか。」
赤ちゃんを抱いた九兵衛が玄関に出てきた。
「ぐずってぐずって大変で、やっと寝たんだ。
起こしたくない。」
そういいながら腕に抱いた赤ちゃんに微笑みかける九兵衛は、まるで聖母のような表情をしていたが、土方の体からは魂が抜けていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ