銀魂

□絶対なんてないけれど
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銀時と九兵衛は所謂『恋人』と言うやつで。
まだ18の九兵衛は銀時にとっては可愛くて可愛くて仕方ない、大事な恋人だった。

だから一度は万事屋に帰ったものの、可愛い九兵衛のために団子でも買って来よう、そう銀時は思い立って万事屋をでてコンビニに向かって歩いていた。
その途中に通りかかった公園で、見てしまったのだ。
九兵衛が、真選組の土方と仲良さそうに話しているところを。
いつも眉間にしわを寄せて険しい顔をしている土方は穏やかな顔で九兵衛と話していた。
九兵衛もにこやかに話をしている。
九兵衛は銀時と付き合うようになってから、男に触られると投げる癖も直り、笑顔が増えて女の子らしくなっていった。
今だって、ミニ丈の着物に黒のロングブーツ、可愛い眼帯をして毛先をふんわりと巻いた髪を下ろしてる姿は惚れた弱みもあるとは思うが、芸能人顔負けの可愛さだと銀時は思っている。
そして土方は、柳生家の騒動の時に九兵衛を女と知って、剣が鈍ったと聞いた。
なんだか九兵衛に気がありそうだと、常々銀時は思ってたから、非常に不愉快だった。
土方が手を伸ばして九兵衛の髪に触れた。
もう、これ以上は黙っていられない。
銀時は公園の中に入っていく。
二人はまだ銀時に気がついていないが、銀時は二人の声が聞こえるところまで来ていた。
「そういう髪型にするなら、かんざしとか挿したほうがよくねぇか?
今度の俺の非番に一緒に買いに行くか?
お前に似合いそうなの、見繕ってやる。」
土方の言葉にカッとなって木刀ぶん投げてやろうかと思ったが、九兵衛が
「どうせ買うなら、銀時の好きそうなものを買いたいな。」
と言ったので、怒りは少し収まる。
土方の顔が銀時の名前を聞いて一瞬だけこわばったが、九兵衛は気がついていない。
「それなら、俺と一緒に買い物にいこうか、九ちゃん。」
銀時が声をかけると土方と九兵衛が振り向いた。
九兵衛は嬉しそうに、土方は眉間にしわをよせている。
「銀時!」
九兵衛の声に土方の眉間のしわがさらに深くなるが、九兵衛はそれに気がつかず、
「それじゃ、土方くん、また!」
と言うと、銀時の隣に並ぶ。
「おう、またな。」
九兵衛には笑顔をみせた土方が銀時をにらみつけたのを九兵衛は知らないだろう。
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