銀魂

□世界の終わるその時に
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「僕がお前を愛してるといったらどうする?」
僕の問いかけに高杉が笑った。
「俺がてめぇを愛してると言ったらどうする?」
「問いかけに問いかけで返すのは反則だ。
でも答えてやる。
僕も、お前を愛してるから、愛してると言われるのは嬉しい。」
僕が高杉を見つめると、高杉は僕を抱きしめた。
息が止まりそうなほどに強く。
「俺もお前を愛してる。
だからなのか。
お前の言葉を嬉しいと思うのは。」
高杉の言葉に僕も高杉に抱きつく。
高杉の息が止まりそうなほど強く。
それでも、僕たちは一緒にいることは出来ない。
高杉は攘夷浪士で、僕は一ヵ月後に結婚する。
相手は門下生の中で一番家柄がいいからパパ上は乗り気だ。
柳生家への婿入りだから先方も乗り気だ。
そして僕は高杉を愛してはいても、家を捨てることは出来ない。
高杉も僕を愛してはいても、自分の生き方を変えることは出来ない。
もし、明日、地球が滅びると確実に分かっているその時でなければ、僕は家を捨てて高杉を選ぶ決心なんか、つかないだろう。
「愛してる。
だから、明日も会いに来い。」
「僕も愛してる。
でも、もう会えない。
お前だって知ってるだろう、僕はもうすぐ結婚する。
だからその前にお前の気持ちが聞けてよかった。
その言葉があるから、僕はきっとこれからも大丈夫だ。
お前の事は忘れない。」
そういったら高杉が黙れと言って僕の唇を自分の唇でふさいだ。
「それなら、明日にでもこの世界を終わらせてやる。
世界が終わると分かっていれば、てめぇは家をすてて俺についてくることを選ぶだろ。」
耳元で囁かれた言葉に僕は
(なんでこいつはこんなに僕の考えてることが分かるのかな)
と思っていた。
そして、どんなに高杉を愛していても、世界が終わるその時じゃないと高杉と一緒にいる決心すらできない自分の弱さを呪った。

END
 

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