銀魂

□三千世界の光の下で…
1ページ/6ページ

深夜零時。

誰にもばれないようにこっそりと屋敷を抜け出した九兵衛は走っていた。

約束の場所につくとそこにすでに彼は来ていた。

走る九兵衛の足音が聞こえたのか、キセルから煙を吐き出し、不敵そうな笑みを浮かべて男が…高杉晋助が振り返る。

「やっと来たか。」
高杉の手が九兵衛の頬に伸びていく。

「お前が、僕を呼んだんだろうが!」

九兵衛の低い声に高杉は笑みを深くした。

「嫌なら無視すればよかったじゃねぇか。
それなのにここに来たのは、てめぇの意思だろうが。」

「僕はお前が嫌いだ。」

「そうか。」

「僕は、お前なんか、大嫌いだ。」

「そうか。」
「僕は幕府に仕える柳生家の次期当主。
お前は攘夷浪士。
僕は、お前なんか、大嫌いだ。」

「ああ、分かった。」

そう言って高杉は九兵衛を抱きしめる。

九兵衛は目を閉じて、高杉にきつく抱きついた。

「僕は、お前なんか、嫌いだ。
僕とお前は敵同士だ。
なのに、僕はお前を愛している。
だから、僕は、お前が嫌いだ。」

「そうかよ、しかし残念だな。
俺は、お前を、愛してんだ。」

高杉の言葉に九兵衛の目から涙が零れ落ちた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ