黒子のバスケ

負けるわけにいかない勝負
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試合が終わった後、そのまま5人でマジバに行くことになった。

さつきを挟み、高尾と黄瀬が話をしている。
その後ろを少し距離を取って笠松と宮地が歩いているので、三人の様子が二人にはよく見えたし、話の内容も聞こえた。


「桃っち、この間スタイリストさんに教えてもらったカフェがチェリーパフェがすごくうまいらしいんスよ!
今度二人で一緒に行くっスよ!」
「桃井ちゃん、オレの妹ちゃんに教えてもらってスィーツ食べ放題に今度行かない?
チェリーゼリーとかチェリータルトとかすごいうまいんだって!」
「オレが先に桃っち誘ったんスけど?」
「実際、黄瀬君と桃井ちゃんが会うの大変なんじゃないの?
だからオレと行こうよ、桃井ちゃん!」

黄瀬と高尾はさつきをデートに誘っている。
お互いに一歩も引かず、睨み合う二人の腕に、さつきが自分の腕を絡ませた。

「それじゃ三人で行こうよ?
ね?
だめ?
きーちゃんのカフェも高尾くんのスィーツ食べ放題も三人で行ったらもっと楽しいよ!
あ、ミドリンとか青峰くんとテツくんとかも一緒ならもっと楽しいよ!」
さつきは二人の顔を笑顔で交互に見上げた。

「「いえ、三人で行きましょう…」」

さつきの笑顔に二人はほぼ同時に答えていた。


「なぁ、あのマネージャーのあれあざといのか?
それとも天然なのか?」
笠松は隣を歩く宮地に聞いていた。

「天然だろ。
考えても見ろよ、キセキの世代を支えたマネージャーがバスケ以外に興味あると思うか?
あんな可愛い顔してっけどあの子あいつらを支えたマネだぞ、バスケ馬鹿に決まってんだろ?
そんなバスケ馬鹿が恋愛に敏感なわけないだろ?
それなのに黄瀬と高尾にあんな態度ってことは、気を許したやつのことは無条件で信じるんじゃねぇの、多分。
そんで高尾と黄瀬の気持ちなんか気付いてないだろ、あれ。
もし気が付いてたら三人で行こうなんて言えねぇだろ。
よって天然、と。」

「まぁ確かに、あれは完全なバスケバカだな。
女でバスケバカってそうそういねぇよな。」
笠松と宮地は顔を見合わせて頷き、また三人に視線を移した。


とりあえず三人で出かけることは決まったようだが、今度は先にどっちの店に先に行くかでもめている。
さつきはヒートアップする二人を呆れたように見て、ため息をついた。

「あーあ、ドン引きしてるぜ、あの様子じゃ。
高尾、ホークアイを持ってるくせに何も見えてねぇんだな…」
「だな。
黄瀬はやっぱり馬鹿だった…」
宮地と笠松も呆れる。

その時、さつきが声を上げた。
「プリクラあるから一緒にとろうよ!」
さつきに肩を叩かれ、二人は同時に振り返った。

「ね、プリクラ一緒にとろうよ?
だめ?」
「「ダメじゃない!」」
ほぼ同時に黄瀬と高尾が言って、また睨み合う。

「うん、それじゃ一緒にとろうよ、三人で。」
さつきはにっこりと笑って二人の腕を引いた。

それでもにらみ合っていた二人だが、さつきが
「どれでとろうか?
あれがいいかな?」
と笑うと麗しい笑みを浮かべた。

「桃井ちゃん「桃っち」の仰せのままに!」」

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