黒子のバスケ

負けるわけにいかない勝負
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決勝リーグ進出を決めた秀徳高校のPGの高尾和成は、三年生の宮地清志と一緒に、埼玉県の決勝リーグを見に来ていた。
埼玉県は東京都より先に決勝リーグが始まり、この試合で勝った方がIHに進出が決まる。

秀徳はIHに出場する事になるだろうから他校の偵察も必要だというので、高尾と宮地が来ていた。

「宮地さん、けっこー人が入ってるっスよ。」
高尾は広い視野で会場に結構人が入っていて、中々いい席がないことに気がついていた。

「いいから早く席探せ、轢くぞ。」
「あっ!」
いきなり高尾が叫んだので、宮地は
「なんだ?!」
と驚く。

「あ、いや、桃井ちゃん発見♪したんスけど、なんでその隣に黄瀬がいんのかな、と。
よっし、あの席にしましょう。
笠松さんもいるし。」
高尾はそう決めて先に歩いてく。

「桃井って桐皇のあの子か。
あの子可愛いよな。
ドルオタのオレから見ても、ありゃ相当可愛いと思うぞ。」
宮地も高尾の意見に賛成する。

「あ、ダメっすよ!
桃井ちゃんはオレが狙ってるんで。」
「てめー、女に現ぬかしてバスケ手ぇ抜いたら轢き殺す!」
「いや、桃井ちゃんはバスケ上手くない男に興味ないっしょ!
だから桃井ちゃんに好きになってもらうためにバスケに手なんか抜けないでっす。
だってあの青峰の幼馴染っすよ、青峰のプレー見て目が肥えてるだろうし生半可なプレーじゃ桃井ちゃんの視界にも入れないと思うんで。」

怒っていた宮地は高尾の言葉を聞いて普段はノリの軽い高尾が結構本気で桐皇のマネージャーに惚れていることを知る。
「そんな好きなら、決勝リーグで桐皇に勝って桐皇のマネの視界に入るようにすんだな。」
「当たり前でっす!
それより宮地さんは桃井ちゃん好きんなんないで下さいよ?」
ジト目で睨む高尾の頭を宮地はどつく。

「あの子は可愛いけど本気にはなんねーよ!
くだんねーこと言ってると轢くぞ!」

なんだかんだ言いつつ、可愛い後輩だ。
その後輩が本気で惚れてる女に横恋慕なんかしねーよ、宮地は心の中でだけ思ってもう一度高尾をどつく。

「ちょ、宮地さん痛いから!」
高尾が抗議した時、その声が聞こえたのかさつきと黄瀬と笠松が後ろを振り返った。
一斉に振り返られ、高尾と宮地はちょっと驚きつつ
「「どーも」」
と挨拶をした。

「おい、隣いいか?」
高尾より先に宮地がさつきに声をかける。
座席は笠松が通路側に座り、その隣に黄瀬、その隣にさつきの順で座っていてさつきの隣は空いている。
「どうぞ、宮地さんに高尾くん。」
さつきはにっこりと笑って隣の座席をぽんぽんと叩いた。

「前、悪ぃな。」
「すいませんっす。」
宮地と高尾は笠松と黄瀬の前を通り、高尾がさつきの隣に、宮地は高尾の隣に座った。

「どんな感じ?」
高尾は座ってすぐさまさつきに話しかける。
「均衡してるよ、どっちが勝ってもおかしくない感じなの。」
さつきが高尾の方に振り向く。
その時にふわっとシャンプーらしい香りが漂ってきて、高尾はやっぱ女の子はいい香りがするななんてぼんやりと考えた。

「おい、どっちが強いんだ?」
宮地がさつきに聞く。
「どっちが強いとは言えないですね。
どっちのチームもbS、主将がSFでスコアラーです。
試合展開としては点取り合戦でどちらの主将も引かないですから、なんとも言えないです。」
「ふーん、どっちと当たってもマッチアップオレじゃんね?」
「そうですね、宮地さんSFですもんね。」

「海常と当たったらオレがマッチアップっスね!
桃っち、オレとあの二人だったらどっちがすげぇっスか?」
宮地と話しているさつきに黄瀬が話しかける。

「今桃井ちゃん、宮地さんと話してたっしょ?
割り込みはよくないよ、黄瀬君。」
高尾も話に割り込んできた。

「いや、高尾君こそ割り込んでくんなっつー話じゃねっスか?」
「いや、割り込んできたのそっちっしょ?」
「桃っちはオレと話した方が楽しいっスよね?」
「いや、オレと話した方が楽しいよね?」
「っつーかさ、オレと桃っちは中学からの付き合いっスよ。
高校からの付き合いの高尾君とは年季が違うからオレらの邪魔しないで下さいっス!」
「いや、秀徳と桐皇、学校近いから!
今はもう、神奈川の黄瀬君よりはオレの方が桃井ちゃんとよく会ってるから!
黄瀬君こそ邪魔すんなって話じゃね?」
さつきを挟み、黄瀬と高尾が言い合いを始める。

「「うるせーよ!」」
そんな黄瀬と高尾の頭を笠松と宮地がどつく。

「きーちゃんも高尾くんもどっちも好きよ、私。
だから仲良くしようよ、ね?」
頭を抑えて痛いと泣き言を言う黄瀬と高尾の頭を交互に撫でててさつきが言う。

「そして静かに試合みようよ。
私、監督とか今吉さんに頼まれて部活に出ないでこの試合を見に来てるから、集中させて欲しいかな。」

「「はい!」」
さつきに頭を撫でられた二人は声を揃えて返事をした。

((すげぇな…))
その様子を見ていた笠松と宮地の心の声は一致した。

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